熾烈な競争社会。自分ではどうにもならない格差。“ここでは幸せになれない”と感じたケナが新しい人生を始める物語 映画『ケナは韓国が嫌いで』
第28回釜山国際映画祭オープニング作品として話題を呼んだ、映画『ケナは韓国が嫌いで』の日本公開が決定し、あわせて予告映像とポスタービジュアルが公開された。 ソウル郊外で両親と妹と共に暮らす28歳のケナ(コ・アソン)。大学を卒業後、金融会社に就職し、片道2時間かけて通勤している。学生時代からの恋人ジミョン(キム・ウギョム)は、「自分が就職したら支える」と言うが、そんなジミョンにケナは苛立ちを隠せない。だが、ケナの母は、裕福な家庭で育ったジミョンとの結婚を待ち望んでいた。一方、ケナが家族と暮らす小さな団地は老朽化が進み、再開発が予定されていたが、母は転居先の家の購入費用もケナに頼ろうとしていた。ソウルの寒すぎる冬、地獄のような通勤、恋人との不透明な未来、仲は良いけれど息が詰まるような家族との日々。ここでは幸せになれないと思ったケナは、ニュージーランドへの移住を決意する。 現代の韓国社会を舞台に、生まれ育った場所で生きづらさを感じる女性が人生を模索する姿を描いた本作は、小説「82年生まれ、キム・ジヨン」と同じ出版社から2015年に刊行され、ベストセラーとなった小説「韓国が嫌いで」(チャン・ガンミョン著)を原作に、韓国の若者が直面する現実を映し出す。 監督は「第2のホン・サンス」「韓国の是枝裕和」と称され、映画『ひと夏のファンタジア』などで知られるチャン・ゴンジェ。2015年に原作を読んだ監督自らが映画化を熱望し、9年の歳月をかけて完成させた。 主人公ケナを演じるのは、ポン・ジュノ監督『グエムル-漢江の怪物-』に中学生の娘役で出演し、天才子役として鮮烈な印象を残したコ・アソン。主人公ケナと同じ時期にニュージーランドに留学し、かけがえのない友人となるジェイン役は、ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」で新人弁護士として奮闘するクォン・ミヌ役を務め、2025年1月にはTBS系新春スペシャルドラマ「スロウトレイン」で日本ドラマデビューを果たす、チュ・ジョンヒョクが演じる。