カナダ首相、辞任の意向示さず-下院補欠選挙で「壊滅的な」敗北でも
(ブルームバーグ): カナダのトルドー首相は25日、最大都市トロントで行われた下院補欠選挙で与党・自由党が衝撃的な敗北を喫したことを受けて、有権者の「懸念と不満」は傾聴しており、問題に対処するため懸命に取り組むと表明した。
トロントのセント・ポール選挙区で24日実施された補欠選で野党・保守党が予想外の勝利を収めたことで、来年実施が予定される総選挙を控えたトルドー首相と政権には大きな打撃となった。この選挙区は1993年以来、自由党が毎回議席を維持してきたいわば牙城。トルドー首相の人気が急落する中、今回の結果は自由党が強固な地盤を持つ地域でさえも激戦となることを示している。
カナダ首相に打撃、牙城トロント選挙区でまさかの敗北-退陣圧力も
全国世論調査で保守党のポワリエーブル党首の支持率が急上昇する中、今回の自由党の敗北により次回選挙を前にトルドー首相への退陣圧力が高まる可能性がある。保守党は従来、地方や西部地区を支持基盤としているが、今回の結果はトルドー氏が選挙で勝利を収める鍵となってきた都市部で保守党が勢力を強めていることを示している。
トルドー首相は声明で、「これは明らかにわれわれが望んでいた結果ではないが、国民の懸念や不満を傾聴していることは明確にしておきたい」と指摘。「カナダ国民が目にし、実感できる具体的で真の前進を実現するため、私と私のチーム全員がさらに懸命な努力をしなければならないことは明らかだ」とした。
トルドー首相はバンクーバーで行われたメディア向けイベントに姿を現したが、質問には応じず、辞任の意向は示さなかった。フリーランド財務相は25日、記者団に対し、トルドー首相は自由党を次期選挙に導くことに尽力していると語った。
世論調査会社アバカス・データのデービッド・コレトー最高経営責任者(CEO)は、24日の選挙結果は「自由党にとってまさに壊滅的だ」と語った。
コレトー氏は、オンタリオ州の全選挙区で今回と同様の選挙結果となった場合、自由党は次の選挙で55議席余りを保守党に奪われる可能性があると試算。それらの多くは「ほんの数カ月前には自由党が保守党に負けるとは想像すらできなかった議席だ」と述べた。