タクシー運転手5年で3割減…細る市民の足確保へ「ライドシェア」導入を県内初申請 伊佐市と鹿屋のタクシー会社
タクシー事業者の管理下で一般ドライバーが有料で客を送迎する「日本版ライドシェア」について、鹿屋市でタクシー会社を運営する坂元運送(鹿児島市)と伊佐市が導入を求め、九州運輸局鹿児島運輸支局へ申請していたことが21日、分かった。県内での導入申請は初めて。いずれもタクシー不足による市民生活への影響を理由に挙げている。 【写真】伊佐市の位置を地図で確認する
申請を受理した同支局は現在、区域内のタクシー事業者に参入意向を調査中。同支局によると、参入を希望する事業者があれば、不足車両数を割り振り許可申請書を交付。提出後に管理体制などを審査し不備がなければ正式に許可する。 伊佐市によると、7月中旬に同市内の事業者から「平日午前中の運転手が足りない」と相談を受け、不足車両数を調査し8月15日申請した。相談した事業者は参入の意向を示している。市地域振興課の川添喜一郎係長は「2種免許取得の補助制度も設けていたが目立った成果はなかった。導入されれば、運転手不足解消につながる」と期待する。 坂元運送が鹿屋市で運営する「まいにち交通」は8月19日に申請。宮田正広所長によると、20年ほど前の夜間は同業者も含め約100台が走っていたが現在は10台前後といい、日中を含め需要に応えられない状況という。「配車アプリ導入などの費用はかかるが、事業継続はもちろん細る地域交通のためにも行動しようと思った」と話す。
県タクシー協会によると、2024年7月末の県内の運転手数は2433人で、新型コロナウイルス禍前の19年同月末より3割弱減っている。最近はコロナの影響が収まり新規採用が増えているものの、高齢化による退職者数が上回り総数は減少し続けている。 ◇日本版ライドシェアとは 旅客運送に必要な2種免許を持たない一般ドライバーが、自家用車でタクシー営業できる制度。タクシーが足りない区域や時間帯に限り、タクシー会社の管理による運行などの条件付きで4月から導入された。事前に発着地と運賃を確定し、キャッシュレス決済するシステムが必要。
南日本新聞 | 鹿児島