【インタビュー】真田広之、『ラスト サムライ』から『SHOGUN 将軍』まで「すべてに縁を感じてます」
■『SHOGUN 将軍』集大成のその先へ
『SHOGUN 将軍』は、映画『大脱走』や『いつも心に太陽を』の脚本などでも知られるジェームズ・クラベルが1975年に発表した小説『将軍』が原作。日本の戦国時代を舞台に、徳川家康ら歴史上の人物からインスパイアされた登場人物たちによる覇権争いに、海を渡って日本にやってきた英国人、アジア圏の貿易を独占していたポルトガルの宣教師や商人らも絡んで、関ヶ原の戦いに突入していくさまを描く。1980年に米国でドラマ化され、三船敏郎などが出演。絶大な人気を博し、欧州や日本では再編集版が劇場公開されて大きな反響を集めた。 約40年を経ての再映像化となる本作で、真田は主演に加え、日本文化に関する一切を担うプロデューサーを兼務。「企画段階だった2016年頃、まず俳優として主人公・吉井虎永役のオファーをいただきました。引き受けるにあたって、日本人の役は日本人がやり、日本から時代劇専門のスタッフを呼ぶことを求め、それを言い続けていたら、ジャスティン・マークス(エグゼクティブプロデューサー/ショーランナー)やレイチェル・コンドウ(エグゼクティブプロデューサー)から、プロデューサーとして力を貸してくれないかという話になったんです」。 「誤解された日本を描く時代を自分の世代で終わらせる」と奮闘してきた真田だが、俳優の立場で意見するには限界も感じていた。「『ラスト サムライ』以降、自分ではどうすることもできないことにもどかしさや悔しさを感じつつ、相手のプライドを傷つけずに日本人が納得するものを提示する術を学んできました。今回、プロデューサーという役職を得て、これまでの全ての経験をつぎ込めた」と語る。 脚本の執筆、衣裳デザイン、美術の構想の段階から徹底した時代考証が行われ、実際の撮影でも動きのひとつひとつ、せりふの一言一句まで妥協を許さないこだわりで“本物の日本”を追求。そんな真田のもとには、長年にわたって日本映画界を支え続けてきた職人たちや時代劇経験豊富なスタッフが集結した。 「これまではおかしなところはないか、と気にしながらお芝居をしなければいけないことも多かったのですが、今回はカメラの前に立つ前に全部の準備を終えていたので、あとは俳優として演じるだけ。役に安心して集中することができ、まるでご褒美のような自由を感じました。演じることをとにかく楽しめました」。 『SHOGUN 将軍』は、真田のこれまでのキャリアの集大成であり、未来への新たな一歩でもある。 「役者としては、この年になって初めてできる役というのもあると思うので、その時はまた1年生から始めなければならない。必死に食らいついて、新たな領域を開拓していきたいです。プロデュースの喜びを知ってしまったので、機会があればまたやってみたいと思っています。『SHOGUN 将軍』がいい布石になったらうれしいです」。 常に未来を、より良い“あるべき姿”を見据えて行動してきた真田の姿は、『SHOGUN 将軍』で演じた主人公・虎永の目の前の“勝ち”や、対立する勢力の“排除”ではなく、争いや対立のない“理想の未来”を追求していく姿に、約260年間にわたって天下泰平の世をもたらした虎永のモチーフとなった徳川家康にも重なる。 『SHOGUN 将軍』は、「Disney+(ディズニープラス)」の「スター」で独占配信中。毎週火曜に新エピソードが追加され、最終話は4月23日配信(全10話)。 ヘアメイク:高村義彦(SOLO.FULLAHEAD.INC)