<戦隊大失格>戦隊パロディーではない ロジックはヤンキーマンガ? さとうけいいち監督インタビュー
戦闘員Dは、12年にもおよぶ大戦隊と怪人との茶番劇の末にやさぐれ、敗け続けた運命を変えるため立ち上がることになる。さとう監督は、戦闘員Dを「イキっている中学生」と捉え、その視点で映像を表現しようとした。
「Dは中学生(13~14歳)くらいのイメージです。よその町に行って、急に大人ぶっちゃったり、SNSの世界で海外の友達とゲームでつながって、急にオラオラしてしまったりする気分なんだろうと思います。この子が面倒な社会、組織に立ち向かっていく。彼に感情移入、共感できるようにしようと思いました。キャラクターが多い中、そこはブレないようにしたかったんです。ロジックはヤンキーマンガですよね。けんかを売られたら、そこに立ち向かう。そのロジックを自分の中で整理し、Dからカメラを外さないようにしようとしました」
◇虚構としての「日曜決戦」
「戦隊大失格」の世界では、竜神戦隊ドラゴンキーパーと怪人、戦闘員の戦いの様子が、「日曜決戦」として毎週末にテレビ中継されている。怪人たちの侵攻を食い止める竜神戦隊ドラゴンキーパーは、全人類から羨望(せんぼう)のまなざしを向けられていたが、実は怪人側が必ず負けることを義務付けられた茶番劇である。世間が現実であると認識していたことが、虚構だったことが明らかになる。数々の特撮に参加してきたさとう監督が「日曜決戦」をどのように描くかが注目される。
「特撮らしさがあるのは、ポーズや殺陣くらいですかね。ドラゴンキーパーは、テレビ中継のカメラを意識しているけど、カメラがないところは違う。この世界で『日曜決戦』がどれくらいメジャーなものかを表現しないと、物語に入っていけないので、アニメオリジナルでの世界を盛り盛りでやっています。第1話の冒頭からAパートの終わりまで、これは番組なのであるということを強調しています。シナリオにはなかったけど、Aパートの終わりには、レッドキーパーが『CMだ』と言うシーンを入れました。その後、Bパートからカメラが戦闘員Dに向く。それまで、わざとらしくドラゴンキーパーがしゃべっていたけど、Bパートで本音が出ます。ギャップを表現しようとしました」