日銀・黒田総裁会見3月16日(全文2)下押し圧力が出れば、追加の金融措置も
長期化した場合の次の一手は?
テレビ東京:テレビ東京の大江と申します。2問あります。まず1問目なんですけれども、先ほどから終息までどのぐらい時間が掛かるのか分からないというのが大きな問題点だというお話がありますけれども、これが長期化して、より状況が悪化した場合というのは、次の一手として日銀はどういったことを考えているんでしょうか。 黒田:これは今、具体的に何か申し上げることは難しいと思いますけれども、まずは、一番最初にこのコロナウイルスが非常に大きく拡大した中国、それからその次の韓国というところを見ていくと、中国はもう終息に完全に向かっていますし、韓国も今や新たな感染者よりも治っていく人のほうが多いという状況になっていますので、そういうところから見ると、まったく同じ状況ではないと思いますけども、わが国の場合もそういったテンポで終息に向かっていく、あるいはそういうふうになるように政府としてはさまざまな措置を講じてると、こういうことだと思います。 ただ、そのほかの国、特に欧米は今、一番、感染者が加速度的に増えているところですので、そういったところを含めて、世界的に見たときにどのくらいの期間で完全に終息するかというのはなかなか予測しがたいところがあると思いますけども、それぞれの国・地域にとっては、一番激しく増加した中国、あるいは急速に増えた韓国などを見ても、一定の期間がたつと終息に向かうということではないかと思います。 ですから日本にとってものすごい長期になっていったときにどうなるかというのは、そういうふうには現下では考えてませんけども、いずれにせよ、コロナウイルスにせよなんにせよ、経済・物価に対して下押し圧力が出てきた場合には当然、それに対抗するための追加的な金融措置を、金融緩和措置を考えていくということになると思います。
世界的な金融システムがぶらつく可能性は?
テレビ東京:もう1問ですけれども、先ほどリーマンショックのときとは違うというお話もありましたけれども、これは影響が長引いてきたときに、世界的な金融システムがぶらつくという可能性は本当にないのかどうか、その可能性、どのぐらいみていらっしゃるのか教えてください。 黒田:これは先ほど申し上げたように、リーマンショックはそもそも、ある意味で金融の行き過ぎというかバブルが金融システムの中に発生して、それが大規模に崩壊して、特に欧米の大手の金融機関の破綻が相次ぐといったような状況になって、そういった金融機関を立て直す、そして金融仲介機能を適正に果たしていくために、いわばリハビリテーションというか、立て直すために相当な期間が掛かったわけですね。 今回の新型ウイルスの感染拡大というのは、そういったものとはまったく違った形で経済・金融に対するショックが起こっているわけですね。ただ、やっぱり企業や金融機関の資金繰りに影響が出る可能性はあるわけですし、それから特に経済の先行きに対する不透明感が強いと金融資本市場の動きは非常に不安定になるということも事実。この辺りはある意味で共通している面もあるということだと思います。 従って日本銀行としては、先ほど申し上げたように、3つのこと、国債買い入れやドルオペを含むいっそう潤沢な資金供給を実施すること。それから新たなオペレーションの導入も含めた企業金融支援のための措置を図ること。それからETF、J-REITの積極的な買い入れによってリスクプレミアムに働き掛けるといった3つの形で金融緩和を強化するということが適切だというふうに考えたわけです。