韓国政府「ウクライナに軍参観団」波紋…与党「国会の同意不要」野党「戦争ごっこか」
北朝鮮軍のロシア派兵が具体化した場合、ウクライナ現地に参観団を派遣するという意向を韓国政府が示したことを受け、野党は「戦争ごっこでもするつもりなのか」と反発した。政府は参観団のような「個別単位の派兵」には国会の同意が必要ないとみている。野党「共に民主党」は、ロシアに派兵された北朝鮮軍の撤退を求める決議案を近く発議する方針だ。 イ・ギョンホ国防部副報道官は28日の定例会見で、「ウクライナとロシアの戦争に参観団を派遣する計画があるか」という質問に対し、「政府で必要な検討と措置が行われるだろう」と答えた。この日「国家情報院がロシアに派兵された北朝鮮軍捕虜の尋問を検討している」という報道が出たことに対し、国家情報院は「コメントは控える」としながらも事実そのものは否定しなかった。政府は昨年10月のガザ戦争勃発後、情報要員を現地に派遣し、北朝鮮の兵器の流入情報を収集してきたという。 派兵をめぐり、政界の反応は分かれている。共に民主党のイ・ジェミョン代表は同日、党最高委員会議で「国家情報院がウクライナに要員を派遣し北朝鮮軍捕虜を尋問することを検討している」という報道に触れ、「大韓民国から消えた拷問技術を伝授するつもりなのか」と批判した。一方、与党「国民の力」のハン・ドンフン代表は党最高委員会で、「世界平和を害し、大韓民国の国益と安全保障を損ねる北朝鮮の参戦に対する糾弾に民主党も賛同してほしい」と述べた。民主党は同日午後、国家安全保障状況点検委員会議を開き、「ロシアに派兵された北朝鮮戦闘兵の撤退および朝鮮半島の平和安定を求める決議案」を近く発議することにした。 国防部が検討していると発表した参観団の派遣に国会の同意が必要かどうかをめぐり、与野党の議員と国防部の間で意見が分かれている。24日、国会国防委員会による国防部などの総合国政監査で、国民の力所属のソン・イルジョン国防委員長が「部隊単位の派兵には国会の同意が必要だが、個別単位の派遣は長官が(決定して進めることが)できる」と発言したことに対し、キム・ヨンヒョン国防部長官も同意した。一方、民主党のキム・ミンソク議員は「戦場地域に監視要員を1人派遣しようが3人派遣しようが、軍隊を送ることは変わらないため、国会の同意が必要だ」と主張した。 「国軍の海外派兵業務訓令」によると、個人単位の海外派兵は「派兵要請の受付→関連機関の意見聴収→長官への報告→個人派兵審議委員会開催」などの手続きを経て進めるよう定められている。訓令は「個人単位の派兵」を「国連、地域安保機構、特定国などの要請により、国連平和維持軍(PKO)および多国籍軍平和維持活動などの任務を遂行するために、軍人または軍務員を海外に派遣すること」と定義している。参観団がウクライナ現地で遂行する可能性がある北朝鮮軍戦略戦術などの分析と北朝鮮軍捕虜の尋問への助力などが「平和維持活動」に当たるかどうかについては検討が必要だ。 一方、チョ・テヨル外交部長官とキム・ヨンヒョン国防部長官、米国のトニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官が出席する「第6回韓米外交・国防(2+2)閣僚協議」が31日(現地時間)、米ワシントンで開かれる。前日の30日にはワシントンで韓米軍事当局間の最高位協議体である韓米安保協議会議(SCM)が開かれる。 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこの日、ハン・ドクス首相との週例会合で「ウクライナ、中東地域など最近高まっている地政学的リスクと対外経済の不安要因に対する管理に万全を期すこと」を要請したと、チョン・ヘジョン大統領室報道官が伝えた。 クォン・ヒョクチョル、シン・ヒョンチョル、オム・ジウォン、ソン・ヒョンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )