大の里 大関取り起点の10勝目 八角理事長、優勝争いで「自然と上の番付は見えてくる」
◆大相撲 ▽夏場所13日目(24日、東京・両国国技館) 新小結・大の里が3敗とトップの座を堅持した。西前頭4枚目・宇良に押し出しで快勝し、10勝目。阿武咲以来となる史上2人目の新入幕からの3場所連続2ケタ白星の快挙を達成するとともに、大関取りの起点とした。大関・琴桜は東前頭10枚目・湘南乃海との3敗対決を制し、こちらも首位を守った。1差の4敗で大関・豊昇龍、関脇・阿炎、平幕の大栄翔、湘南乃海に新入幕の欧勝馬を加えた5人が追う展開となった。 【夏場所】番付&星取表 大の里が業師をねじ伏せた。立ち合いで頭を低く下げて、懐へ潜ろうとする宇良をもろ手突きで横向きにさせ、鋭い出足で一気に押し出し。土俵下まで吹っ飛ばした。新小結で堂々の10勝目を挙げた一番はイメージ通りだ。目を閉じて「圧力をしっかりかけられた」と静かに振り返った。 新入幕から3場所連続で2ケタ勝利は阿武咲以来となる史上2人目。新三役で2ケタ勝利を挙げるのも1場所15日制が定着した1949年5月場所以降では、2019年九州場所の朝乃山以来22人目だ。幕下付け出しでは横綱・輪島の15場所を大きく更新する所要7場所での最速初優勝が現実味を帯びる。大関昇進への目安「三役で直近3場所33勝」となる起点にもなり、八角理事長(元横綱・北勝海)は「優勝争いをしていれば、自然と上の番付は見えてくる」と見解を述べた。大の里は「(大関取りの起点については)まだ考えていない」と土俵に集中した。 新小結となり、勝ち星への考えた方が変わった。「今回は三役。先に見えるもの(地位)があるので数字が大事になる。それは三役の権利」と平幕との違いを強く意識するようになった。それでも緊張感は拭えず、後半戦で2敗。師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は異変を察知し「何を意識しているんだ」とたしなめた。硬くなっていることに気がついた大の里は「残りをしっかり取り切るだけ」と開き直った。 3敗で並んでいた湘南乃海と欧勝馬が敗れ、首位は琴桜と2人だけ。14日目は初顔合わせの湘南乃海。偉業達成が迫る中、「優勝はないと思っている。あと2日、国技館に来て相撲を取ることだけを考えている」と大の里。無欲の先に快挙が待っている。(山田 豊)
報知新聞社