写真：HOMINIS

2023年7月に中国で配信された途端、各サイトのドラマランキング１位を記録したファンタジー・ロマンス時代劇「玉骨遥(ぎょっこつよう)」が、１月４日(木)から毎週木曜、WOWOWプライムで２話ずつ放送される。今作は、2019年のブロマンスドラマ「陳情令」でブレイクした俳優シャオ・ジャンが主演する時代劇ドラマということで、配信前から話題を呼んだ注目作だ。 【写真を見る】中国で絶大な人気を誇るシャオ・ジャンが主演 「シャオ・ジャンがとにかく美しく、ずっと見ていたいと思わせる時間泥棒ドラマです(笑)。また、ビジュアルエフェクトもハイレベルでそこも注目です」と語るのは、中国作品に精通するライターの島田亜希子さん。本作の魅力や見どころを語ってもらった。 ■シャオ・ジャン演じる孤独な皇子と、宿命を背負う姫のラブストーリーが切ない！ 人気小説「鏡」シリーズの中の「朱顔(しゅがん)」をドラマ化した「玉骨遥」は、架空の空桑国(くうそうこく)を舞台に繰り広げられる。シャオ・ジャンが演じるのは、空桑の皇子で世継ぎの世子(せいし)である時影(じえい)。ある日、赤族の姫・朱顔(レン・ミン)をかばったことが原因で鮫族(こうぞく)出身の側室に目を付けられ、彼女の命を懸けた策略にハマり、側室殺しの罪を着せられる。そのため、時影は死を装い、母と縁のある大司命(だいしめい)の下、身分を隠し、法術の修行に時を費やすことになる。 時影が18歳になるまでに因縁を持つ少女に出会うと命を奪われると大司命が予言したことで、2人は再会を許されぬ関係に。しかし、朱顔は時影を生き返らせるために死者復活の呪文を求めて禁断の地に足を踏み入れ、運命に導かれるように2人は再会するのだった。 「時影はとても複雑なキャラクターです。本来は優しい心の持ち主ですが、国を追われた身として生きてきたことで氷のように心を閉ざし、感情を表に出しません。しかし、その内には少年のように純粋な面も秘めています。そんな彼の感情を唯一引き出すことができるのが朱顔であるという点が、キュンとさせられるポイントになっていると思います」 ■種族や身分の違いによる人と人の関係性がさらなるドラマを生む！ 無事18歳を迎えた時影は少司命に任命され、各種族の若者が法術の腕を競い、少司命の最初の弟子を決める選抜大会に出席する。そこで選ばれた朱顔と師弟関係となり、いつしか互いに惹かれ合うようになる。そうして、徐々に部族間の争いにものみ込まれていくのだった。 さまざまな種族や人物が登場することで、人間関係も複雑に。そんな中で島田さんが注目するのは、ハン・ドン演じる大司命と、ファン・イールン演じる鮫族出身の赤淵(せきえん)だ。 「大司命は、かつて時影の母親である皇后を愛していました。その思いがとても深く、皇帝への復讐(ふくしゅう)にも執着しており、時影と朱顔の関係にも影響を与えていきます。彼もまた複雑な感情が入り交じった人物なので、存在感のあるハン・ドンでなければ演じられなかったキャラクターだと思います。一方、赤淵も重要な役どころです。長命の鮫族出身の赤淵は長く赤王府に仕え朱顔が幼い頃から見守っており、最後まで目の離せない存在になります。演じるファン・イールンは報われない恋に身を捧げる切ない皇子様役が多く、そんな彼の役どころにトキめいているファンも多いと思いますが、今回も期待を裏切らないはずです。また、注目の若手俳優ワン・ズーチーが演じる青族(せいぞく)の将軍もいちずなキャラクターで好感度大。彼もすてきなので、こちらもお見逃しなく！」 ■主人公カップルらが宿命に逆らい、運命を切り開いていく姿に注目 再び出会ってはいけなかった時影と朱顔をはじめ、今作の中には種族を超えたカップルが複数誕生します。しかし、世界では種族同士による争いが絶えず、自分の民族のために愛する人を裏切り続ける人も。宿命にあらがいながらも未来を切り開こうとする若者たちの姿にも注目したい。 「さまざまな登場人物が、決められた自分の人生や運命を努力と行動で変えていくさまがとても印象的でした。一番はやはり時影と朱顔で、宿命に逆らい、愛と世界を守るために命を懸けて挑んでいきます。特にそれまで運命に従って生きてきた時影が、自ら運命を変えようと変化していくところは大きな見どころです。彼の背中を押したのは、朱顔の時影への愛。彼女の前向きで積極的な性格が時影に良い影響を与え、互いに守り合う関係になれたのだと思います。そんな2人の関係性はとても切なく、悲恋要素はやはり人を引き付けるなと思いました。放送がスタートするのはお正月。このドラマは『人は運命に打ち勝つことができる』という物語の根幹が心に響くので、何か新しいことを始める１年のスタートにふさわしい作品でもあると思います」 しまだ・あきこ●中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も担当。アジアカルチャーサイト「Cinem@rt」で「中国時代劇トリビア」などを連載中。 取材・文＝及川静