【阪神】才木浩人さらなる加速へ予言「ピークまだ来ていない」快投連発も序盤戦「60点」の理由
インタビュー<1> 阪神才木浩人投手(25)が日刊スポーツのインタビューに応じ、21日のDeNA戦(甲子園)で再開するリーグ戦での「直球の進化」を予告した。両リーグトップの8勝目を挙げ、チームの連敗を5度止めるなど、再三チームを救った今季序盤。22年7月に受けた右肘のトミー・ジョン手術からの完全復活を印象づけるが、自己評価は「60点」と低い。真っすぐを磨いてピークは7月と予想する伸びしろたっぷりの右腕が、首位奪回&アレンパに力を尽くす。【取材・構成=波部俊之介】 【写真】試合を観戦する才木の母・久子さんと父・昭義さん ◇ ◇ ◇ 才木は現状に満足していなかった。約1年3カ月のリハビリを経て、22年7月に右肘のトミー・ジョン手術から復帰。一時は育成の3桁背番号になった苦しい時期を乗り越え、今季はすでに両リーグトップの8勝をマークしている。完全復活を印象づけた今シーズンの序盤戦。自身の自己評価は意外なものだった。 「60点くらいじゃないですかね」 昨季に比べて変化球の精度が高まり、配球の幅も広がった。だが、目指しているのは真っすぐ中心の投球スタイル。開幕当初は肝心の直球が納得のいくレベルに達していなかった。 「真っすぐだけなら、去年の方がいいです。スライダー主体のピッチングになっているのは、自分のスタイルじゃないし、今後のことを考えたら絶対に良くない。抑えられているから良く見えるけど、自分の中で良くはない。これを良いとしたら多分伸びしろもないし、今後は下がる一方だと思っています」 昨オフ、体重を約4キロ増量。体が大きくなった一方で「細かい動きは悪くなった」と感じていた。特に肩甲骨回りの動きはあまり良くなかったといい、体全体のしなりを出すトレーニングを行うなど試行錯誤。その中で、上昇気配を感じ取った一戦があった。 「(今月2日の)ロッテ戦ぐらいから、ちょっとつかめかけてきたかなと。(9日の)西武戦も感覚が良かったので。肩甲骨周りの動きとかが、あまり良くないと思っていたから。そのあたりの動きが良くなってきて、腕がしなって球が伸びるというか。高めに吹き上がる感じですね」 ホップするような直球に手応えを感じている。バロメーターにしているのが直球での空振り数だ。 「1試合あたり、真っすぐだけで(空振り)10球くらいは取りたいです。それくらいに持っていきたい」 今季初先発した3月31日の巨人戦では、直球での空振りは2つだけ。だがノーヒットノーランまであと5人まで迫った9日の西武戦では7つを奪った。球の質が高まるにつれて、今季の最速も当初の153キロから155キロに上がった。 日に日にストレートが求めるレベルに近づく中、序盤戦は変化球のキレや使い方にも磨きがかかった。これを「いい誤算」ととらえ、夏に向けた伸びしろを感じている。 「(状態のピークには)まだ行ってないですよね。真っすぐが良くなかったから。そういう意味ではいい誤算じゃないけど、夏場に向けてちょうど6月で良くなってきている。6月中盤から7月ぐらいにピークが来るんじゃないかなとは感じています。8月、9月は気合ですね(笑い)。真っすぐがあって、今年のカーブとかスライダーも合わさってきたら、よりいいと思いますけどね」 切れ味鋭い変化球に加えて、真っすぐもパワーアップすれば鬼に金棒。その表情には、自信がみなぎっていた。 ◆今季の才木 先発3試合目の4月14日の敵地中日戦で7回を1失点に抑えて初勝利。開幕から日曜日のローテを守り、2度の9回「1-0」勝利を含む3完封を挙げた。6月9日の本拠地西武戦では8回1死まで無安打無失点で「ノーノー目前」の快投。チームの連敗を5度止めた連敗ストッパーとして、再三悪い流れを断ち切った。交流戦は3戦3勝で、ここまで両リーグトップの8勝&リーグトップタイの71奪三振。防御率も1・20と、抜群の安定感を誇る。敗戦は6回2失点で敗れた4月7日の敵地ヤクルト戦だけで、自身8連勝中だ。