不登校に「分身」で支援 「家から出られない」児童と小学校つないだ
授業出席はアバター(分身)で――。東京都狛江市の狛江第三小学校が、不登校児と学校を新たなテクノロジーでつなぐ取り組みを始めた。文部科学省の調査によると、2022年度の不登校の小中学生は29万9千人で過去最多を更新。支援や対策の必要性は年々増している。 【写真】「ありがとうございます」。修了証が手渡されると、胸に青いリボンをつけたアバターが声を出した=2024年3月25日午前、東京都狛江市の狛江第三小学校、細川卓撮影 3月25日に行われた同校の修了式。500人以上の児童が見守る中、壇上に特別支援学級「あおば学級」の森村美和子教諭が上がった。胸に抱えていたのはタブレットスタンドとアバターが表示されたiPad。森村教諭が修了証を受け取ると、アバターの女の子が「ありがとうございました」と声を出した。 アバターの先にいたのは小学4年生(現5年)のサワさん。自宅からの参加に「楽しかった。でも、緊張してちょっと疲れました」と話した。 サワさんには感覚過敏がある。集団生活が苦手で、雨のアスファルトのにおいや、けたたましい電車の通過音に心を乱された。4歳の頃から幼稚園に行けなくなり、小学校も不登校に。家から一歩も出られず、母親以外とはほとんど接することがなかったという。サワさんは「外とつながりたい気持ちはあったけど、難しかったです」と振り返る。
朝日新聞社