2023年9月中間期決算 中小企業等向け貸出は365兆円、過去最高を更新 貸出比率は67.80%、コロナ禍が落ち着き2年連続低下
地区別 中小企業等向け貸出比率が6地区で上昇
銀行本店の所在地別では、中小企業等向け貸出金残高は10地区すべてで前年同期を上回った。 増加率トップは、中国の5.6%増。以下、中部4.4%増、東京4.2%増の順。また、貸出比率は四国の78.24%を筆頭に、近畿76.30%、中部76.28%の順。貸出比率の上昇は、東北、東京、中部、北陸、中国、四国の6地区だった。
地公体向け貸出金 貸出比率は前年同期より0.06ポイント上昇
地公体向け貸出金残高は、39兆5,098億円(前年同期比4.5%増)で、9月中間期では調査開始した2011年以降、13年連続で前年同期を上回り、過去最高を更新した。 地公体向け貸出金残高は、北海道、中部、中国、四国を除く6地区で増加した。 106行のうち、地公体向け貸出金残高が前年同期を上回ったのは43行(構成比40.5%)で、前年同期(48行)より5行減少した。業態別では、大手行が4行(前年同期3行)で前年同期を上回ったが、地方銀行が27行(同29行)、第二地銀が12行(同16行)だった。 総貸出金残高に占める地公体向け構成比は7.33%(前年同期7.27%)だった。経済活動の再開で中小企業等向け貸出が伸び、地公体向けの貸出比率は前年同期をわずかに上回る水準にとどまった。 地公体向け貸出金の構成比が前年同期を上回ったのは34行(構成比32.0%)で、前年同期の35行から1行減少した。地公体向け貸出比率が最も高かったのは、熊本銀行の47.08%(前年同期35.92%)。次いで、青森銀行36.13%(同30.93%)、十八親和銀行35.64%(同35.36%)と続く。貸出比率30%以上は4行(同4行)、同20%以上30%未満は11行(同8行)だった。 ◇ ◇ ◇ 国内106銀行の2023年9月中間期の中小企業等向け貸出金は、大手行(前年同期比3.5%増)、地方銀行(同3.9%増)、第二地銀(同3.2%増)の全業態で伸ばした。 アフターコロナに向けて経済活動は、本格的に再開した。しかし、コロナ禍からの業績回復が遅れている企業は多い。そうしたなか、円安などによる原材料やエネルギー価格の上昇、人材確保のための賃上げなどでコスト負担が上昇し、企業の資金繰りを圧迫している。こうした企業の再生のために、銀行がどこまで踏み込んだ対応ができるか、銀行の存在意義が問われている。