2023年9月中間期決算 中小企業等向け貸出は365兆円、過去最高を更新 貸出比率は67.80%、コロナ禍が落ち着き2年連続低下
中小企業等向け貸出金 過去最高の365兆円
2023年9月中間期の中小企業等向け貸出は365兆2,070億円(前年同期比3.6%増、13兆255億円増)で、前年同期(352兆1,814億円)を上回り過去最高を更新した。伸び率は、コロナ禍から売上が回復したほか、物価高などで価格が上昇し運転資金の需要が押し上げた。ただ、地場堅実企業は伸びたが、過剰債務を抱えた中小・零細企業も多く、前年同期の3.7%増より伸び率は0.1ポイント縮小した。貸出比率は67.80%(前年同期67.85%)と、2年連続で前年同期を下回った。 業態別の中小企業等向け貸出は、大手行が141兆8,587億円(前年同期比3.5%増)、地方銀行が181兆579億円(同3.9%増)、第二地銀が42兆2,903億円(同3.2%増)と、全業態で前年同期を上回った。前年同期を上回ったのは、大手行が7行すべて(前年同期6行)、地方銀行は62行のうち58行(同58行)、第二地銀は37行のうち29行(同32行)の合計94行(構成比88.6%、前年同期96行)で、前年同期から2行減少した。 貸出比率は、大手行が61.49%(前年同期61.37%)で前年同期を上回ったが、地方銀行71.70%(同71.90%)と第二地銀76.29%(同76.55%)は前年同期を下回った。 コロナ禍の資金繰り支援策の反動で過剰債務を抱えた中小企業は多く、顧客層の違いから大手行と地方銀行、第二地銀で貸出比率の伸びに差が出た。
中小企業等向け貸出 南日本銀行が貸出比率94.97%で初めてトップに
総貸出に占める中小企業等向け貸出の構成比トップは、南日本銀行の94.97%(前年同期93.76%)だった。調査を開始した2010年以降で、初めてトップになった。以下、スルガ銀行94.65%(同95.50%)、佐賀共栄銀行94.52%(同93.05%)、神奈川銀行93.45%(同94.02%)、福岡中央銀行92.64%(同87.67%)と続く。一方、最低は東邦銀行の49.99%(同49.92%)で、唯一、50%を下回った。 中小企業向け貸出比率は、大手行7行では2行の上昇にとどまった。地方銀行は、62行のうち33行(構成比53.2%)、第二地銀は37行のうち22行(同59.4%)と半数を超えた。大手や上場企業への貸出が主体の大手行と、地元中小企業がメインの地方銀行・第二地銀で対応に差が出た。 コロナ禍から本格的に経済活動が動き出したが、業績回復が遅れる企業や過剰債務を抱えた中小・零細企業の支援に金融機関がどのように取り組むか注視が必要だ。