立民・国民、連携演出も薄氷の合意 政治資金規正法改正案を共同提出
次期衆院選に向けて接近を図る立憲民主党と国民民主党は、20日に政治資金規正法改正案を衆院に共同提出することで、派閥パーティー収入不記載事件に揺れる自民党を連携して追及する姿勢を演出した。ただ、協議の過程では少数政党である国民民主が譲歩を迫られる局面もあり、決裂の可能性を含んだ「薄氷」の合意となった。 【表で見る】政治資金規正法改正を巡る交渉の枠組み ■滑り出しから温度差露見 「国民の政治に対する信頼を回復する第一歩を見いだすためにも、最低限でも今回提出した案は実現をしなければいけない」 国民民主の古川元久国対委員長は20日の法案提出後、記者団にこう力説した。 共同提出した法案は、両党の案を幅広く含んだ内容となったが、法案の共同提出のためには詳細まで意見をすり合わせなければならず、調整は難航した。 立民の岡田克也幹事長と古川氏は9日、国会内で会談し、共同提出に向けて協議に入ることを確認した。 しかし、14日に行われた協議では、政治資金パーティー規制に関し一本化を見送ることが決まり、滑り出しから温度差が露見する。パーティーそのものの禁止を訴える立民に対し、国民民主は派閥による開催を禁じるなどの規制強化策を掲げており、短期間で歩み寄ることは困難と判断した。 焦点となった項目は他にもある。国民民主は、規正法違反などの罪で起訴された国会議員の所属政党に対し交付金を減額する改革案を訴えていたが、立民は、この件に関する記載を法案の「本則」ではなく「付則」にとどめることを提案した。 ■やむをえない妥協 17日の国民民主党会合では、付則とすることへの反対意見も上がり、結論は出なかった。その後、幹部らで相談を重ね、同日夕になって立民側の提案をのむという結論に至った。 立民、国民民主両党幹部らが、共同提出に合意する会談に臨んだのはその直後。国民民主が協議から離脱する可能性は土壇場まで拭えなかったというのが実情だ。国民民主関係者は「17日に合意できなければわが党の案は提出できなかった」と語り、付則にとどまったことはやむをえない妥協だったと強調する。 協議に携わった国民民主の竹詰仁参院議員は17日の会談後、「時間的な制約もある中で、歩み寄れるところとしてここがベストだと判断した」と記者団に説明した。ただ、立民が主導する連携への不満が国民民主内でくすぶれば、関係改善の足かせになる余地も否定できない。(深津響)