【定額減税を詳細解説】給与明細で今すぐ確認!1人4万円、退職金や投資で収入増えると減税分を返す要注意ケースも
■ 給与所得者はどのように減税される? 今回の減税で対象となるのは、納税者本人および同一生計の配偶者または扶養親族です。納税者は(1)日本国内に住所がある、(2)2024年分の所得税の納税者、(3)2024年の合計所得が1805万円以下――という条件を満たしている必要があります。 減税額は納税者本人、および配偶者・扶養親族1人につき所得税3万円、住民税1万円の合計4万円です。したがって、納税者本人(合計所得金額が1805万円以下)と配偶者、扶養親族2人という4人家族の場合、所得税からの控除額は12万円(3万円×4人)、住民税からの控除額は4万円(1万円×4人)。合計で16万円の減税です。単純に言えば、給与の手取り金額が減税分だけ増えることになります。 実際の減税はどのように行われるのでしょうか。 まずは、給与所得者に対する定額減税です。所得税については、6月1日以降に最初に支払われる給与または賞与において、源泉徴収される所得税額から減税分の控除額が差し引かれます。納税額が少なく、控除額の差し引きが一度にできない場合は、翌月以降の給与から順次差し引きを実施。それでも2024年内に定額減税分を差し引けなかったときは、年末調整を使って残額を差し引くことになります。 給与所得者の住民税については、(1)2024年6月分の住民税は徴収しない、(2)定額減税分を差し引いた住民税額が2024年7月から2025年5月までの11カ月間、均等に分割されて給与から天引き――という形になります。 給与の支払者は煩雑な事務をこなさなければなりませんが、勤労者は特段の手続きを行う必要はなく、給与明細に明記された「定額減税」分の金額を見て、減税の内容を知ることになります。 一方、自営業者や個人事業主などの事業所得、あるいは不動産所得のある人はどうでしょうか。
■ 自営業者や個人事業主は確定申告で この場合、減税は基本的に2024年の確定申告(2025年2月17日~3月17日)に際して行われ、申告した所得税額から減税分が差し引かれることになります。また、こうした人たちの住民税は年4回に分けて納付しますが、2024年6月の第1期分から住民税が控除されます。 また住民税非課税世帯については、公平性を担保するために1世帯当たり7万円が給付されます。 今回の定額減税では、住宅ローン減税やふるさと納税には影響が出ないように設計されています。このため、定額減税で恩恵を受けたからといって住宅ローン減税などに不利益が及ぶことはありません。 一方、2024年末までの1年間で合計所得が1805万円(=収入2000万円)を超えた場合、定額減税の恩恵を受けることはできません。給与の天引きで減税分が差し引かれたとしても、年末調整や確定申告で最終的な所得税額と定額減税分の精算を行うことになります。退職金や投資などで収入が膨らむ人は注意が必要です。 仮に定額減税に対応しない事業者があった場合、どうなるでしょうか。林芳正・官房長官は5月末の記者会見で、労働基準法違反になるとの見解を明確にしており、悪質な場合、その事業者は労基法違反で罰金を科せられる恐れもあります。