<目指せ頂点・21センバツ敦賀気比>/中 逆転劇に先輩の支え /福井
県大会王者として臨んだ2020年10月の北信越大会も制した敦賀気比だったが、準決勝の関根学園(新潟)戦は1点差を追う状況のまま九回裏2死まで追い込まれた。走者は一、二塁。打席に入った大島正樹主将(2年)に気負いはなかった。振り抜いたバットはボールを捉え、一、二塁間を抜けて同点に追いついた。そして延長十回裏、東鉄心選手(同)が適時打を放ちサヨナラ勝ち。逆転勝ちの背景には、練習で選手を鍛えた先輩らの存在があった。 昨夏の独自大会終了後も、前チームの主戦の笠島尚樹投手、松村力投手ら4人は練習に参加し続けた。打撃練習では全力投球で後輩らを鍛えた。この特訓は北信越大会まで約2カ月間続いた。松村投手は「自分の直球や笠島のスライダーを打って自信につなげてほしかった」と話す。 北信越大会準決勝は初回に先制するも逆転され、七回表には本塁打を浴び2―4とリードを広げられた。七回表終了後、ベンチに戻った選手らに、東哲平監督は「お前らは今まで誰の球を打ってきたんや」と発破をかけた。「あの言葉で気が引き締まった」。選手らは先輩の支えを思い返して奮起した。 九回に追いついた後、延長十回の東選手のサヨナラ打も2死からだった。打ち返した球は、自身が苦手としてきたスライダー。大会前、笠島投手に「克服したい」と相談し、笠島投手の決め球のスライダーを打つ練習を重ねていた。東選手は「笠島さんに投げてもらったから打てた」と感謝する。大島主将らとともに打線をけん引した前川誠太選手(同)も「先輩4人ほどの球を投げる投手は北信越にはいなかった。自信を持って臨めた」と振り返る。 準々決勝の新潟明訓戦で3点差を追いつき勝利した経験も、選手を助けた。追う展開でも「まだ負けてへんぞ」とベンチで盛り上げた大島主将は「準々決勝でも諦めずに戦った結果勝てたので、また勝てるとみんな信じていた」と語る。「自信を付けさせたい」という先輩の思いが後輩たちに届いた試合だった。【大原翔】 ……………………………………………………………………………………………………… ◇秋季北信越大会 【1回戦】 5―0 富山北部・水橋 【準々決勝】 7―4 新潟明訓 【準決勝】 5―4 関根学園 【決勝】 16―5 上田西