尾野真千子の涙が雄弁すぎる…視聴者にまざまざと見せつけた“母の愛”とは? 『ライオンの隠れ家』第5話考察レビュー
ドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)が放送開始した。本作は、主演の柳楽優弥&坂東龍汰演じる兄弟の前に、謎の少年「ライオン」が現れたことで、2人の生活が一変していくことになる。家族愛や兄弟愛の変化を描く愛と絆の物語だ。今回は、第5話のレビューをお届け。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】尾野真千子の圧巻の芝居に涙…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『ライオンの隠れ家』劇中カット一覧
思いやりの連鎖に胸が熱くなる…。
チューリップの花言葉は「思いやり」だ。衝撃的な展開が多かった第5話だが、そこかしこに流れる思いやりの連鎖に胸が熱くなった。 愛生(尾野真千子)が生きているとわかって俄然元気を取り戻したライオン(佐藤大空)と、洸人(柳楽優弥)、美路人(坂東龍汰)の3人での生活はにぎやかに続いていた。「行ってらっしゃい」とライオンから声をかけられ、洸人は顔をほころばせる。 事情があるにせよ、このまま3人での生活が続いたらいいのに。そんなことを思ったのもつかの間、尾野真千子が体現する“母の愛”をまざまざと見せつけられる。 愛生が生存していることが工藤(桜井ユキ)らによって写真付きで報じられ、働いていたキャバクラから財布を盗んで逃走することを余儀なくされた愛生。最初はホテルに潜伏していたが、そこも警察にバレてしまい、X(岡山天音)からスマートフォンを奪ってマンガ喫茶で夜を過ごしていた。 スマホはXが洸人との連絡に使用していたもので、愛生はライオンのぬいぐるみに仕掛けられている盗聴器でライオンたちの様子をうかがっていた。なんでもいいから息子とのつながりを感じたかったのだろう。張り詰めた表情からも、愛生の心細さが伝わってくるようだった。
愛生(尾野真千子)の雄弁な涙
盗聴器からは、ぬいぐるみのなかからメモ帳を見つけた洸人が、そこに書いてある文字を読み上げる声が聞こえてくる。最後には「ひゃくじゅうのおうみたいにつよくなったらむかえにいくね」と、ライオンのイラスト付きで書かれていた。これまでのライオンの行動は、すべて愛生と約束したことだったとわかる。 すると、「怖い夢を見た」と言ってライオンが目を覚ます。怪獣が出てくる夢を見たけど、逃げなかった、百獣の王だから倒したと、眠たげな声で語るのがより一層健気だ。 それを聞いていた愛生の目にはたっぷりの涙がたまる。彼女が初めて表情を変えた瞬間だった。そして、「強くなったら迎えに来てくれるって約束したから」「僕、強くなった?」というライオンの言葉に声を殺して泣き崩れる。 圧巻だった。セリフや回想もなく、ただ暗がりのなかで泣くだけではあったが、愛生の息子への愛情を感じ取るには十分すぎるほど雄弁な涙だった。 ライオンの様子にいてもたってもいられなくなった愛生は、洸人にメッセージを送り、会いたいことを伝える。もしかしたら愛生が虐待をしていたのではないかという疑いを払拭するため、洸人も誘いに応じることを決めた。