「僕も去るかもしれない」と言う来季44歳になるイチローの行方は?
現在、マーリンズのマイナーには、マリナーズからトレードで獲得したブライアン・ヘルナンデスと昨年のドラフトで1位指名(全体 36位)したブライアン・ミラーという将来が期待される外野手がいるが、彼らはまだ若く、メジャーに昇格するとしたら2~3年後 。メジャーに近いのは、オースティン・ディーン、ブラクストン・リーらだが、力は未知数。となるとやはり、例えばレンジャーズでは出場機会のないものの、内外野が守れるジュリクソン・プロファーのような選手の獲得が必要で、さらにイチローを保険として残しておきたいと考えて不思議はない。 だが、もしもトレードできず、外野手が今年と同じ布陣なら、イチローの役目も変わらないため、果たしてその難しい役割をジーターが強いるかどうか。彼だからこそ、イチローの痛みもわかる。 それでも最終的にイチローに決断を委ねるとしたら、どんな状況であれ、イチローはその役割を受け入れるかもしれない。 そこで二人を結びつけるのは、共通の価値観。7月終わりのこと。ここ数年、各球団は様々なデータ分析に力を入れ、しのぎを削っている状況に、イチローは異を唱えた。 「野球をやったことがないやつを現場に入れているから、ややこしくなっている」 分析の専門家は、フィールドで起きていることよりも、パソコンの画面に現れる数字に興味がある。それに対してイチローは、「まぁ、しょうがない。そういう時代だよね。病気が出来たら、それを治す薬がその後しか出てこない。そういう時期なんだね」と半ば諦め気味に話したが、奇しくも3日の会見で、ジーター氏は語った。 「個人的には、決してデータに頼ったりしなかった。なぜか? 選手にはそれぞれ心があり、性格があり、他にもいろんな要素がプレーに影響するからだ。あるチームで出していた成績が、必ずしも違うチームで出るとも限らない。なぜなら、試合に伴うプレッシャーもあるし、そこには個人差もある。だから、選手を知らなければならない」 それは、まさに球団の首脳にイチローが求めているもの。 そもそもイチローは、ジーター氏のそんな価値観も知っているはず 。となるとこのオフ、イチローは彼からの連絡をじっと待つことになるのではないか。どこでプレーするにしても、イチローが常に望むのは、自分を必要とし、 理解してくれるチームなのだから。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)