⚽清水エスパルスのDF原輝綺 J1復帰手繰り寄せた“窮地”のビッグプレー あと2試合「J2制覇」へ冷静に準備
J2清水は前節栃木戦の勝利で3季ぶりのJ1復帰を決めた。終盤のピンチを冷静な判断で守り切ったのはDF原輝綺(26)。「大事な試合を勝ちきったのがうれしかった。手の届くところにあるタイトルをとるために残り2試合、切り替えて臨む」と、もうひとつの目標のJ2優勝に向けて準備を整える。 1点リードで迎えた後半追加タイム。清水はJ1昇格、栃木はJ3降格が決まる可能性のある試合とあって、スタジアムは大声援に包まれ、選手同士の声が通りにくい状況だった。 相手はゴール前にロングボールを放り込んできた。今季リーグ戦初出場のGK沖がキャッチしようとジャンプしたところで、DF住吉と交錯してボールは相手選手の前にこぼれた。沖は転倒していたため、ゴールは無人の状態。そこで相手のシュートをブロックしたのが原だった。 「沖の声がつぶれているような状態で、(住吉に)聞こえていないだろうと思った。万が一を考えて入った」。体力的に厳しい試合終了間際でも頭の中は落ち着いていた。原の後ろではDF蓮川もカバーしていた。追いつかれ、引き分けていれば昇格持ち越しの可能性もあっただけに、チームを救うビッグプレーになった。 終盤に付けていたキャプテンマークを試合終了後、退場処分を受けた主将のFW北川の腕に巻く〝粋〟な計らいもあった。「難しい試合で勝負強さを出せた」と振り返った原。チームを俯瞰(ふかん)できるクールな万能プレーヤーがタイトル獲得へ引っ張る。 ■11月3日いわき戦 監督「ホームで優勝決める」 J2清水は30日、次節ホームいわき戦(3日)に向けて三保グラウンドで全体練習を再開した。J1復帰を達成し、残された目標はJ2制覇。秋葉監督は「ホームで優勝を決めて喜びたい」とサポーターに歓喜を届けることを誓った。 前節栃木戦から2日間の休養をとった。パス回しなど約1時間のメニューで調整。平日の午前にもかかわらず多くのサポーターが見学に訪れ、選手やスタッフを拍手で迎えた。 復帰決定後、秋葉監督の元には祝福のメッセージが約400件届いたという。「戻るべき場所に戻れることになったが、まだやるべきことはたくさんある」と気を引き締め直した。
静岡新聞社