草彅剛、想像を超えた“平和”を呼び起こすMC力 『がんばった大賞』から活かし続ける視聴者視点
『草彅剛のがんばった大賞』で見せた無二のMC力
振り返ってみれば、草彅がMCを務めたバラエティ番組はいつだって視聴後に平和な気持ちになることができた。やはり印象的なのは、25回にわたってMCを手掛けた『草彅剛のがんばった大賞』(フジテレビ系)だ。同番組ではドラマチームも多数ゲストとして出演していたが、バラエティ慣れしていない俳優にもゆっくりと寄り添い、トークを引き出す草彅の姿があった。どんな答えが返ってきても草彅自身がまったく慌てないからか、ゲストも焦ることなく自分のペースで話すことができていたように記憶している。 また、今年5月12日には『行列のできる相談所』(日本テレビ系)のスペシャルMCを手掛けたことも記憶に新しい。主演映画『碁盤斬り』のキャスト陣とともに出演した草彅は、連日の番組宣伝によって喉を痛めており、声が裏返ってしまう状態だった。声を張らないと「盛り上がっていないように見えるのでは?」と登場してすぐに事情を説明し、無理のない範囲で声を出していくことを告げたのだ。この等身大で番組を楽しもうという姿勢を最初に見せることで、自然と他のゲストたちの気持ちもほぐしていたように思えた。 バラエティ番組は時折、笑いを取り合う戦場のように喩えられることがある。しかし、MCに草彅が立つと、戦場から一気にホームパーティーのような温かさが漂う。しのぎを削る激しいバラエティが求められる一方で、心が和む番組もまたバランスよく必要だ。草彅がメインに立つ心穏やかなバラエティ番組が、すぐにまた観られることを楽しみにしている。
佐藤結衣