衆院選「自公惨敗」池上彰の見解は?「支持者のお灸のすえかた」「泣き落としの本性は」…“池上無双” 本誌に降臨
いまや恒例となったテレビ各局の選挙特番。今回、衆院選投開票日の10月27日にも、各局がそれぞれ趣向を凝らした特番を放送したが、テレビ東京の『集まれ!総選挙ライブ』に、肝心の “あの人” の姿はなかった。 【写真あり】池上彰が元旦朝刊を読み比べ 「テレ東の選挙特番といえば、2010年の参院選以来、番組の “顔” を務めてきたのがジャーナリストの池上彰氏です。ですが、今回は米大統領選取材のためニューヨークにおり、オープニングで登場しただけでした。 番組タイトルからも『池上彰の~』というタイトルが外れ、大江麻理子キャスターが単独で司会をする形になりました。 池上氏の選挙特番といえば、『池上無双』が代名詞となっています。各党の幹部や候補者に痛いところを突く質問をぶつけて容赦なく斬っていく様子が『無双』と評価されたのです。 今回、池上さんが出演しないことで、SNSには『池上無双ないのか』と、“池上ロス” を訴える声が相次いで寄せられました」(政治担当記者) たしかに、「自民惨敗」「自公過半数割れ」という与党の歴史的な大敗北を、池上氏ならどう斬るか聞いてみたい。そこで、本誌はニューヨークにいる池上氏を直撃。以下、池上氏が本誌だけに語った「池上無双」特別版である。 池上氏は、まずは選挙結果についてこう斬った。 「今回の総選挙は『野党が勝った』のではなく、『自民党が負けた』ものでした。自民党の裏金問題だけでなく、非公認の候補者が支部長を務める支部に2000万円もの金が振り込まれていたことが選挙中に明らかになり、自民党支持者を呆れさせました。 投票に行かなかった支持者も多く、結果、投票率が下がり、自民党の候補者が軒並み落選という結果になりました。自民党の支持者たちは、野党に投票するというより、投票に行かないというやり方で自民党にお灸をすえたのです。 それでも、日ごろから地元で有権者のための活動をしていた候補者は、自民党の看板がなくても強さを発揮しました。それに対し、自民党の看板に安住していた候補者は、看板がなくなった途端に落選しましたね」(以下「」内は池上氏) 今回の選挙戦で目立った “泣き落とし” 候補も、こう斬って捨てる。 「選挙中、『助けてください』と泣き落としにかかった候補者がいたのには驚きました。『助けてください』とは、物価高に悩む有権者が発する声です。この発言をすることで、ようするに自分のことしか考えていないのだなという本性が露呈したのだと思います」 公明党も議席を大幅に減らし、石井啓一代表が小選挙区で落選、辞任する事態となった。 「公明党は、本来は『政治と金』の問題に厳しい政党のはず。それが自民党ベッタリの態度を見せたことで、やはり支持者が離れました。公明党のトップですら落選する現状は、支持団体の創価学会の会員の高齢化と組織力の低下を示しました」 選挙特番でのツッコミ不足についても、こう批判する。 「選挙特番中、自民党幹部が『責任を感じる』『不徳の致すところ』などと弁解していましたが、こういうときは、この発言で満足せず、『どんな責任を感じるのか』『不徳とはどういうことか』と追及してほしかったですね。なんとなく『責任を感じています』で終わらせてはいけないのです」 最後に、批判の矛先は政権交代のチャンスを生かせない野党にも向かった。 「今回は自民党の支持者が自民党に愛想を尽かして、いったん自民党から離れました。この人たちを野党がひきつけることができるかが、今後の大きな課題です。野党が党利党略でモタモタしていたら、この人たちは、再び自民党に戻りますよ」 次の選挙では「池上無双」をもう一度ライブで聞いてみたい。