日銀は12月か1月利上げを「真剣に検討」、再来年2%近くも-渡辺教授
(ブルームバーグ): 日本銀行出身で物価研究が専門の渡辺努東京大学大学院教授は、日銀の追加利上げのタイミングについて12月か来年1月の金融政策決定会合との見通しを示した。その後も段階的な利上げによって2026年までに政策金利が2%に近づく可能性があるとみている。
渡辺氏は19日のフォーリン・プレスセンターでの講演で、「日銀の意図として12月や来年の1月にも政策金利を上げることを、かなり真剣に検討していると思う」と語った。日銀が見通しに沿って経済・物価情勢が推移すれば利上げを進める方針を示している中で、消費者物価が日銀の見通しを上回る現状は「金利をいつ上げてもおかしくない状況」という。
賃金と物価の好循環が強まり、来年の春闘でも高水準の賃上げが展望できるとし、来年も利上げが続いて「来年または再来年のどこかのタイミングで1%を超えていく、あるいは2%に近づけることを日銀は考えている」と指摘。将来の景気悪化局面では利下げの必要に迫られるため、上げられる時にしっかり上げておきたいとの気持ちがあるとの見方を示した。
ブルームバーグが10月会合前にエコノミスト53人を対象に実施した調査では、今回の日銀の利上げ局面におけるターミナルレート(最高到達点)の中央値は1%となった。渡辺氏の発言はこの水準を上回る利上げを想定したものだ。
ただ、渡辺氏は「利上げのし過ぎで経済を殺してしまうことがないよう、日銀は最善の注意を払う」とし、利上げはゆっくりしたペースを見込んでいる。
日銀は10月会合で政策金利を0.25%程度で維持した。トランプ米次期大統領のインフレ的な政策への思惑などから円安が進行しており、市場では12月会合を含めた早期の追加利上げ観測が強まっている。植田和男総裁は18日の講演で、毎回の会合で「利用可能なデータや情報などから、経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら政策判断を行っていく」と述べた。
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Sumio Ito