<センバツここに注目>北陸・友広陸 ライバルに敗れた夏 普段から想定する場面とは
3月18日に開幕する第95回記念選抜高校野球大会。主役候補の注目選手を担当記者が紹介します。北陸の友広陸投手(2年)はチームを34年ぶりの春出場に導きました。ライバルに敗れた反省が原動力となりました。 ◇「ただで走者を出す投手は使えない」 185センチの長身から投げ下ろす、堂々たるフォームが映える。昨秋の公式戦は全11試合に登板し、62回余りを投げて57奪三振。「しっかり制球して投げられたのが成長したところ」と胸を張る。右腕は昨夏の悔しさを胸に北信越大会を制し、34年ぶりセンバツ出場の原動力となった。 今では「武器」とまで語る制球力だが、中学時代は「めっちゃ悪かった。四球、死球を連発していた」。中学時代を知る林孝臣監督(40)も「福井ナンバーワンの素質があったが、バシバシ真っすぐで押す剛腕な印象があった」と振り返る。「ただで走者を出す投手は試合で使えない」。林監督から繰り返し説かれてフォーム固めに励んだ。 だが、甲子園への壁は厚かった。昨夏の福井大会決勝の敦賀気比戦で先発を任されたが、打ち込まれて3回3失点で降板した。リリーフした投手も崩れて敗れ、甲子園出場に届かなかった。「緊張で体が動かなかった。ストライク先行の投球ができなかった」。反省を胸に、普段の投球練習から決勝の場面を想定した緊張感で投げることを心がけてきた。 昨秋の北信越大会では「夏の決勝戦以上の緊張はない」とリラックスできた。最速139キロの直球を軸に三振の山を築き、北陸の関係者を「夏とは見違える投球」とうならせた。決勝の相手は夏に敗れた敦賀気比。1点リードの延長十三回タイブレーク、2死満塁で迎えた打者には3ボールとなってから3球続けて直球を投げ込んで見逃し三振に仕留め、グラブをたたいてほえた。 グラウンドが雪に覆われる冬。林監督から「日本一のピッチャーにしたい」と言われたことを胸に、体作りに励む。小学2年で野球を始めた頃に見た「藤川球児さん(元阪神など)のストレートが魅力的だった」と語る剛腕が、甲子園でもフル回転する。【伝田賢史】