仮設店舗での営業開始へ準備を進める坂本さん＝七尾市一本杉町

　　●共同仮設店舗16日開業 　能登半島地震で被災した七尾市一本杉通りの一角で16日、市内四つの飲食店などが共同仮設店舗の営業を始める。民宿「民荘　太左エ門」（能登島鰀目町）は地盤沈下で傾いた建物で宿泊を続けられず、約25キロ離れた地で料理店として再起を図る。坂本憲彦さん（71）、照子さん（60）夫妻は「おいしい能登島の魚料理を知ってほしい」と出発を心待ちにしている。 　のと共栄信用金庫（七尾市）が市に無償提供した土地に、計320平方メートルの平屋のプレハブ2棟が整備された。中小企業基盤整備機構の支援事業として家賃は無料。光熱費や内装費などは各店が負担する。 　民荘太左エ門をはじめ、結納品販売・コクブ（一本杉町）、美容室イコマ（生駒町）、喫茶店・中央茶廊（府中町）が入居し、15日は各店舗で営業開始に向けた準備が進められた。 　創業42年の民荘太左エ門は地震で建物が傾き、大小の亀裂が入った。 　生活再建に向け、背中を押してくれたのは家族の「民宿ができないなら料理で勝負してみたら」という言葉。慣れ親しんだ地を離れて共同仮設店舗に入居することを決めた。16日からは海鮮丼のみ提供し、焼き魚、てんぷら料理などのメニューを増やしていく。坂本さんは「店の再建に向けて一本杉で踏ん張りたい」と話した。