自らの裸をネットに晒してしまう子どもたち、“自画撮り”被害を防ぐには
小中学生や高校生が当たり前のようにスマートフォンを使い、SNSを活用して世の中と繋がるようになった近年、青少年のスマートフォン利用をめぐり、“自画撮り”のトラブルが増加しているのをご存じでしょうか。今回は、この“自画撮り”を巡るトラブルの実態と青少年のスマートフォン健全利用に向けた業界の対応についてまとめます。
ネット上で自分の裸を送信してしまう“自画撮り”トラブルの実態
まずは、“自画撮り”を巡るトラブルについてまとめてみましょう。スマートフォンのカメラを使って自分の姿を撮影して友人とシェアする“自画撮り”は今や当たり前に行われていますが、“自画撮り”を巡るトラブルはSNSを通じて子どもたちが悪意のある大人と出会ったときに発生します。 彼らは、友人の知り合いなどを装い子どもたちに接近。場合によっては、男性が女子高生を演じることもあるのだそうです。そして、子どもたちと親密になる中で言葉巧みに子どもたちを騙したり、あるいは強く脅迫するなどして、子どもたちの下着姿や裸の写真を要求するのだそうです。子どもたちは、相手が“女性”であることに気を許してしまったり、なにか交換条件を出されたことで軽い気持ちで応じてしまったり、また脅迫から逃れたくて自分の姿を撮影し、送信してしまうといいます。 警察庁がまとめた統計によると、2016年にこうした“自画撮り”のトラブルに見舞われた子どもの数は480人。2012年から毎年増加しており、2016年には前年比でも100人以上増加しているのだそうです。かつては、子どもとインターネット・スマートフォンを巡るトラブルといえば盗撮や児童買春などが社会問題になっていましたが、現在では子どもが巻き込まれる犯罪全体に占める自画撮りの被害件数は約40%と高く、大きな課題となっています。 しかも、この統計は警察がトラブルの相談などを受け、認知している件数ですので、実際に発生していても相談せずに泣き寝入りしている事案を含めた場合、その数は更に多いと考えるべきでしょう。内閣府が2016年に行った「青少年のインターネット利用実態調査」では、スマートフォンの利用について子どもの3人に1人が“ネットのコミュニケーションで悩んだ経験がある”と回答しており、“自画撮り”のトラブルを含めて、顕在化していないネット上のトラブルをどのように防ぐかは大きな課題なのです。