米ボーイング社のストライキが2か月で終結…4年間で38%賃上げ案、労働組合が承認
【ニューヨーク=小林泰裕】米航空機大手ボーイングのストライキを巡り、同社の労働組合は4日、会社側が提示した4年間で38%の賃上げを柱とする新たな労働協約案を承認した。9月13日に始まった16年ぶりのストは2か月弱で終結するが、傷ついた財務を回復させるのは容易ではない。
4日の投票で、59%の組合員が労働協約案に賛成票を投じた。同案には1万2000ドル(約180万円)の一時金の支払いも含まれる。ストに参加した約3万3000人の組合員は6日以降、順次職場に復帰する。
会社側は当初、4年間で25%の賃上げを提示したが、労組側はインフレ(物価上昇)によって生活費が増加しているとして40%の賃上げを求めた。米西部ワシントン州などの工場で働く組合員がストに踏み切り、航空機生産の大半が停止した。
米アンダーソン・エコノミック・グループによると、ストにより10月25日までの6週間でボーイングに約55億ドル(約8400億円)の損失が発生。また欧米メディアによれば、今回の賃上げにより人件費は4年間で11億ドル増加する。今後、人件費の増加が経営を圧迫する恐れがある。