NEC森田社長「魅力的賃上げ実現」 来年春闘へ前向き デジタル人材獲得し異業種と競争
NECの森田隆之社長兼最高経営責任者(CEO)は11日までに報道各社のインタビューに応じ、2025年春闘について「他企業に対して競争力があり、より魅力的な賃上げを実現していく」と、前向きな姿勢を示した。生成AI(人工知能)の普及でデジタル人材の獲得競争が異業種とも激しくなっており、職種や業務内容に応じて市場に見合った報酬を配分し、競争力を高める狙いだ。 来年の春闘について、森田氏は「物価が高くなっている状態で、実質的な賃上げになる形で応えるのが企業としての責務だと思う」と述べた。 人手不足が問題となる中、企業や自治体は生成AIなどを使ってその解決を図る動きを活発化させている。電機業界だけでなく、他の製造業や外資系のコンサルティング会社、金融機関などとデジタル人材の奪い合いとなっている。 NECは今年4月、デジタル事業の成長速度を上げるため、仕事の内容や役割に応じて処遇する「ジョブ型」の人事制度を本格導入した。森田氏は「来年度にグループ会社にも展開する」と述べ、NEC全体の競争力を底上げする。 電機業界の賃上げは、電機各社の労働組合が参加する電機連合が基本給を底上げするベースアップを統一で要求する交渉が慣例となっている。 ただ、成長性の高いデジタル分野の採用を巡っては競合相手が外資系や異業種となるほか、労働市場も多様化しており、経営側は報酬面で、どう対応するかという課題に直面している。