【Playback箱根駅伝】第69回/早大が山梨学大とのマッチレース制し8年ぶり総合V!“三羽烏”が区間新の快走
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第69回箱根駅伝総合成績をチェック
第69回(1993年/平成5年) 渡辺康幸が箱根路デビュー、大東大が25年ぶりにシード陥落
11月の全日本大学駅伝で優勝を飾り、久しぶりに頂点を狙える布陣が整っていた名門・早大と、前回王者で10月の出雲駅伝を制した山梨学大による「早山対決」となった第69回大会。東洋大が2年ぶりに出場を果たした一方で、初出場から36年連続で出場中だった国士大が予選会で姿を消した。 レースは序盤から早大が独走態勢を築いた。1区の櫛部静二(3年)が従来の区間記録を1分13秒も短縮。2位の中大に45秒、4位スタートとなった山梨学大に1分15秒の差をつけた。 2区ではスーパールーキーの渡辺康幸が箱根路デビュー。区間賞はのちに宿命のライバルとなる山梨学大のステファン・マヤカ(1年)に譲ったものの、22秒差の区間2位でトップをひた走った。 3区、4区では小林正幹(2年)、花田勝彦(3年)が連続区間賞で首位を疾走。5区の小林修(2年)も区間7位と安定した走りを見せ、一度も首位を譲らない完封勝利で往路を制した。1分58秒差で2位は山梨学大。3位の日大とは5分48の差がつき、優勝争いは“2強”に絞られた。 6区では山梨学大の廣瀬諭史(4年)が素晴らしい走りを見せ、中継所まで残り700m地点で早大を逆転。区間記録にあと7秒と迫る59分28秒の激走で前年に続く区間賞を獲得した。7区では1年生を配置した山梨学大に対し、早大はエースの武井隆次(3年)を投入。従来の区間記録を2分近くも上回る快走で再びリードを2分50秒に広げた。 山梨学大は9区の黒木純(3年)が区間賞の走りで早大との差を2分以上も詰めて食い下がったが、時すでに遅し。8区以降も堅実にタスキをつないだ早大が8年ぶり12回目の総合優勝を達成した。 2分05秒差で2位だった山梨学大は連覇こそ逃したものの、区間賞3つで王者としての意地を顕示。以下、3位に中大、4位は1962年(4位)以来の好成績となった専大となり、前回準Vの日大は5位でフィニッシュした。山梨学大以外は早大から10分以上も大差をつけられ、上位2チームの強さが際立った大会となった。 80年代に4連覇を飾るなど一世を風靡した順大は9位でぎりぎりシード権を確保。8区終了時で6位につけていた日体大は、後半2区間で大きく失速し、わずか4秒差の10位でまたも涙をのんだ。 また、前回5位の大東大は10人中8人が区間11位以下にとどまるなど最下位に終わり、2回目の出場となった1969年大会から堅守してきたシード権を25年ぶりに失った。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部