にじさんじ・四季凪アキラが輝く、「企画屋」としての才能に注目 トークも出来てアイデアも豊富な“次世代のホープ”
現在のVTuberシーンにおけるトップランナーのひとつであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。 【動画】四季凪アキラが教える、腐男子の“ガチあるある” メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。 育成プロジェクトである「バーチャル・タレント・アカデミー(VTA)」からも新規ライバーがデビューし始めており、現在約150名のメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さで今後も大きな影響を与え始めている。 今回は男性4人組としてデビューしたVOLTACTIONから、四季凪アキラについて記していこうとおもう。 四季凪アキラは2022年7月13日にSNS初投稿、16日にYouTubeで初配信し、デビューを飾った男性タレントである。ここ数回にわたって当連載内でも取り上げた風楽奏斗(ふうら かなと)や渡会雲雀(わたらい ひばり)とともにデビューし、バーチャル・タレント・アカデミーから輩出された初の男性タレントの1人でもある。 ■優れたトーク力・企画屋としても動き始めた“新世代のホープ” 深い青と黒を基調としたスーツにメガネをかけた七三ぎみに分けたショートの髪型と、清潔感溢れるオーラを漂わせており、女性からの人気がひときわに高い四季凪。 雑談をおこなう際は「わたし」「僕」といった一人称を主にした丁寧な言葉づかいで会話を進めることが多く、クリーンなイメージを余計に強くさせてくれる。また、テンションや声の大きさを細かく変えることで緩急をつけ、合間合間に愛嬌を挟み込むトークは、低めな声をしている四季凪がよりおおきな存在感を放つことに寄与している。 そんなおだやかなルックスと人柄の四季凪だが、じつはお笑いやラジオ、バラエティ番組を好んでおり、真空ジェシカ、令和ロマン、ムロツヨシなど様々な芸人・タレントについて話題に上げることもあった。 そんな彼がもっともヘビーに聞いていたラジオ番組は、VTuberによるもの。それもにじさんじの舞元啓介とジョー・力一による『舞元力一』だという。デビューしてすぐの配信で自身が『舞元力一』リスナーであったことや特に力一のファンであったこと、長きにわたってにじさんじを見ていたリスナーだったことを明かしている。 この影響もあってか、四季凪は特に雑談配信・企画配信を自身で立ち上げて実施することが多い。この3年ほどの活動のなかで『オール・ナギト・ニッポン』『オール・ナギト・ニッポン・V』『四季凪のおやすみラジオ』とリレーする形でラジオ企画をつづけており、動画企画でもラジオのトークシーンを編集した動画、リスナーからのメール(お便り)募集企画、さらには自分以外のにじさんじの同僚らをゲストにした企画など、様々な動画を投稿してきた。 自身で企画内容を考え、実際に声をかけて行動しているあたり、ある種のYouTuber的なセンスや素養が備わった人物であることがうかがい知れるだろう。 2024年3月にTikTok LiteとのPR配信をした際には、「私に望む動画についての意見交換会」という配信をしているのだが、このアイデアも秀逸かつエッジある内容だ。企業プロダクトのPR配信でありながら、四季凪アキラ自身の活動方針に関わるヘビーな内容を中心に据えており、彼のファンであればその動向を知るためについつい開いてしまうだろう。 仮に時代やタイミングが異なっていれば、ライブ配信ではなく動画制作に力を注ぐ動画勢のVTuberとして、あるいは表に出ることはなくとも放送作家などとしてシーンに貢献していたのでは? などと思ってしまうほどだ。 ■共感を誘う洞察力で作品の魅力を伝える四季凪アキラ もうひとつ彼の特徴といえば、BL好き・腐男子であるという一面だ。 自身の初配信で「古い掃除機とロボット掃除機」が登場人物となった自作のBL(ボーイズラブ)小説を発表し、視聴者にいろんな意味でショックを与えたのはまだ記憶に新しい。新人が自身のデビュー配信において、BLの創作物を、それも人間ではなく無機物を登場人物にした物語を発表するのだ、“肝が座っている”どころの話ではない。 こういった経緯もあり、腐男子としてBLトークをする配信や雑談をすることもかなり多い。おもに商業誌を中心にさまざまな作品を読んでいるそうで、好きな著者・タイトルをリスナーに共有することもある。「にじさんじでBL男子と言えば?」となれば間違いなく四季凪アキラの名があがるはずだ。 ちなみに四季凪は、自身のフェチズムや嗜好をあまり隠すことなく、配信でもオープンに話すタイプであるため、同じくBL作品が好きな早瀬走や狂蘭メロコ、にじさんじを卒業した鈴鹿詩子といった、長期にわたってシーンを追いかけてきたコアな先輩たちとは自身の性癖・フェチズムを全面に押し出した会話で盛り上がっているようだ。またBLジャンルに関する男性目線での体験談・私見を発信することもあり、彼の洞察眼の深さを感じられる瞬間だろう。 ラジオ番組やバラエティ企画を活かした配信や動画作りの一方で、ゲーム配信ではノベルゲームやホラーゲームに類する作品を中心にプレイしている。いわゆるFPSやアクションゲームをプレイすることは、他の同僚や同期・VOLTACTIONと比べると少ない。 そのなかで目を引くのが、今年5月にプレイしはじめた『アイドリッシュセブン』配信だ。 本作はプレイヤーが新興の芸能事務所のマネージャーとして着任した人物となり、新人男性アイドルを自身の手でプロデュースしていく内容となっている。 リズムゲームとノベルゲームをどちらも兼ねたゲーム内容となっており、麗しき男性アイドルをメインキャラクターとして据えたその作品設定から女性人気が非常に高い作品として知られている。 現在までで全3期・全62話のアニメ作品が制作されており、アリーナやドームといった大型会場でのライブ公演も敢行するなど、今年9周年を迎えた本作は「女性向け」と目される作品でも大きな注目を集める人気タイトルである。 男性アイドルが中心の作品ということで、どちらかといえば女性ファンが多いこの作品を男性がプレイするというと、やはり注目は集まる。にじさんじのなかでは卯月コウや甲斐田晴といった面々が同作品を先にプレイしていたが、彼らと四季凪の違いと言えば、やはりBL好き・腐男子であるという一面。 男性アイドルがギュっと集まれば「うわぁすごい集まってきた!」「やっぱ顔がいいなぁ……!」とリアクションをする四季凪を見ていると、女性ファン目線と近い空気感に共感するファンも多かろう。 また本作は各キャラクターの置かれたヘビーな環境や一気に核心へと振れるような急展開も多いので、ストーリーを読み進めていく際はそのひとつひとつに驚き、ゆっくりとストーリーを楽しむ四季凪の姿を見ることができる。心を揺らされっぱなしな自身の姿を通し、多くのリスナーを楽しませているわけだ。 そんな四季凪アキラだが、ファンからは世話好き・お節介焼きと評されることもある。VOLTACTIONの中でも他3人のメンバーを慮る気持ちの強さは、リスナー視点で見ていてもヒシヒシと感じられるものだ。 VOLTACTIONとしては2025年1月にはファーストミニアルバム『Action!!!!!!!!!!!!』のリリースが発表され、ライブ公演も開催される予定とすでに発表されている。彼は今後どのような“アクション”を見せてくれるだろうか。今後の活躍にも注目したい。
草野虹