(写真：ファミ通.com)

文：ウワーマン 生殺与奪の権を握る快感 　いまから11年前の2013年（平成25年）3月7日は、プレイステーション Vita用『SOUL SACRIFICE（ソウル・サクリファイス）』が発売された日。 【記事の画像（8枚）】を見る 　『SOUL SACRIFICE（ソウル・サクリファイス）』は、ソニー・コンピュータエンタテインメント（当時）から発売されたアクションゲーム。携帯型ゲーム機のマルチプレイブームが続くなかで登場したハンティングを主体とする作品のひとつだが、SCEが満を持して放つ完全新作ということもあって大いに注目されていた。 　何より多種多様な魔法を使ったバトルや救済か生贄かを選択するオリジナリティー溢れるシステム、ダークファンタジーの世界観といったところも多くのゲームファンを惹き付けていたんじゃないだろうか。本作のコンセプターとして『ロックマン』シリーズを皮切りに数え切れないほどの名作を手掛けてきた稲船敬二氏が参加していた点も見逃せない。 　ゲームが始まるのは牢獄の中。異形の怪物と化した魔法使いマーリンに囚われている主人公は、そこでしゃべる魔導書“リブロム”に出会うことになる。プレイヤーはリブロムに記された『ある魔法使いの日記』を読んで過去の出来事を追体験しながら、生き延びるためにマーリンの秘密を探っていく……というのが本作の導入の物語だ。 　主人公が戦うのは異形の怪物たちなのだが、どいつもこいつもおぞましい姿をしているので人によっては目を背けたくなるほどだったかもしれない。しかも彼らは欲に溺れた人間の成れの果てだったりもするのがじつにエグいところ。筆者的にはこのあたりが『ソウル・サクリファイス』の魅力だったりもした。 　そんな彼らを倒し、元の姿を取り戻した後“救済”するか“生贄”にするかをプレイヤーに委ねられるところが本作のユニークなポイントだ。救済すれば自身の体力を回復したり、生命EXPを得て防御力を上げたりが可能。NPCの仲間になったりもする。もう一方の生贄を選べば魔法の使用回数を回復させたり、魔力EXPを得て攻撃力をアップさせたりできるというわけだ。バランスよく上げてもいいし、とにかく生贄に捧げて攻撃力を上げていってもいい。 　なんと救済と生贄は共闘する仲間に対して行うことも可能で、救済すれば助けられるし、生贄にすれば超強力な“代償魔法”を使えたのもほかの作品にはない魅力と言えるだろう。強大な敵を相手にしている際は、ときには自身でさえも犠牲にして大ダメージを与えなければならない局面もあり、ひたすら熱かった。 　プレイヤーが扱う魔法はじつに多彩。無限に使える通常攻撃のようなものはなかったので、自由に持ち込める6種類の魔法で怪物たちに挑むことになる。巨大な岩で押しつぶしたり炎を吹き出したりするなど攻撃手段はいろいろあるが、仲間を支援したり回復したりといったことも当然できる。うまく連携すればより効果的にダメージを与えられるため、持ち込む魔法選びも重要だった。 　2014年3月6日には、グラフィックやAIなどをグレードアップさせた完全版とも言える『SOUL SACRIFICE DELTA（ソウル・サクリファイス デルタ）』が発売。インタビューで稲船敬二氏が「考えかたによっては『ソルサク1.9』」と言っていただけあって、あまりの新要素の多さに驚かされた人も多かったのではないだろうか。