フェラーリ、アップデート不発で”2~3ヵ月”分の開発が無駄? しばらくはフロアの使い分けが必要に
フェラーリは、マシンの安定性を高めるためにF1エミリア・ロマーニャGPで使用していた旧パッケージに戻してF1イギリスGPを戦ったが、カルロス・サインツJr.は開発において2~3ヵ月分の後退を余儀なくされたと感じているようだ。 【ランキング】フェラーリ今も2番手死守。しかしマクラーレン&メルセデス猛追:F1コンストラクターズランキング フェラーリはスペインGPで、フロアの刷新を含むアップデートパッケージを投入した。しかし、高速コーナーでのバウンシングを誘発し、マシンの快適性だけでなくパフォーマンスも悪化してしまったことで、サインツJr.とシャルル・ルクレールは苦戦を強いられた。 オーストリアGPでも苦戦したため、フェラーリはイギリスGP金曜フリー走行で新旧パッケージの比較テストを実施。最終的に、5月半ばのエミリア・ロマーニャGPで使用していた仕様にマシンを戻す方が良いと判断した。 しかし、その間に程度の差こそあれアップデートでパフォーマンスを上積みしたレッドブル、メルセデス、マクラーレンに比べて苦戦は避けられなかった。 イギリスGPはコンディションが目まぐるしく変わる決勝レースとなったが、サインツJr.は優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)から47秒、1ポジション前のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)からも35秒離されての5位でレースを終えた。 「明らかに不十分だ」と、サインツJr.は認めた。 「イモラの時と基本的に同じマシンを使っているし、イモラ以降、みんながアップグレードして、おそらくコンマ2秒はマシンが良くなっている」 「2、3ヵ月分の風洞実験で得られる性能向上、3ヵ月分の開発で追加できたはずのパフォーマンスを失ってしまった。最近の僕たちは明らかに正しい判断ができていないんだ」 「今日は少なくとも、イモラにいた頃のクルマに基本に戻ることができたと思う。でも、ライバルたちが僕たちより一歩リードしているのは明らかだ」 チームメイトのルクレールは、インターミディエイトタイヤへの交換が早すぎた代償を払い、イギリスGP決勝を周回遅れの14位でフィニッシュした。それとは対照的に、サインツJr.のレース戦略自体はまともなものだった。しかし結果として、どんなコンディションでもフェラーリのペース不足は明らかだった。 「僕たちは最大限のことをしたと思う」 そうサインツJr.はレースを振り返った。 「特にレース中盤、スリックタイヤでウエット路面を走っている時、僕が常に楽しんできたようなコンディションでは、なんとか表彰台圏内まで6、7秒差のところを走っていた」 「正直なところ、タイヤも無線も、すべての判断が的確だった。ただ僕たちが速くなかったのが残念だ。そうでなければ、表彰台や優勝争いに100%加わっていたはずだからだ」 サマーブレイクまでのあと2戦、ツイスティでハイダウンフォースが要求されるハンガロリンクと、より高速なスパ・フランコルシャンでのレースが待っている。 サインツJr.は、スパでは新しいフロアでは”走れない”と断言したが、ハンガリーでは最新のフロアを使うかもしれないと示唆した。 「(ハンガロリンクの)ターン4と11でバウンドするだろうけど、もっといいものが出てくるまでは、しばらくはバウンドに耐えなければならないかもしれない」 「高速コースでは、この(旧)パッケージのフロアを使って走らなければならないかもしれない。そうでなければ、ドライブできないだろうからだ」 「高速コーナーでバウンドせず、低速コーナーでも速いというより堅実なパッケージが使えるようになるまでは、チームがサーキットごとに適切な判断をしてくれると信じている。それができてから、僕たちはまた上位3チームと戦うことを考え始めるだろう」
Filip Cleeren