【特派員オンライン】

工場内はきれいに掃除され、整理整頓が行き届いていた＝タイ・アユタヤ

　タイ・アユタヤにある自動車部品メーカー「カツヤマ　ファインテック　タイランド」を見学させてもらった。従業員は約470人で日本人は社長を含めて2人。太田雄二郎社長（62）はほぼ全員の名前や出身地を覚えており、「従業員の家に行ったり、皆で宴会をしたりします」。従業員との距離が近く、太田さんとうれしそうに話す社員の姿が印象的だった。 　工場は整理整頓され、従業員は時間やルールを守り、製造技術もしっかり習得している。2012年の社長就任時と比べ、23年の売上高は4倍の約10億バーツ（約45億円）まで増えたが、太田さんは苦労をおくびにも出さず「（社会に）車が増えたからね」と笑う。こんな人がタイの日系企業を支えている。 　昇給が少ないなどの理由からタイでは日系企業の人気に陰りが出ている。だが、そんな苦境を伝えるニュースが先日、動画投稿サイトにアップされると「日本企業で規律を身に付けたのは誇り」「中国企業よりシステムは何倍も優れている」というタイ人のコメントがずらりと並んだ。太田さんの工場を見ていただけに納得した。日系企業は愛されており、まだまだやれる。