子どもが自己破産を検討しています。この場合、奨学金はどうなるのでしょうか?
何らかの理由から借金をし、返還が難しくなったとき、自己破産を考える人もいるでしょう。また、奨学金の返還をしている場合、自己破産で返還義務がなくなるのか気になる人もいるかもしれません。 本記事では、自己破産によって奨学金の返還義務がなくなるのかを紹介するとともに、奨学金の返還が難しいときに利用できる救済制度を紹介します。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
自己破産とは
自己破産とは、裁判所により支払い不能と判断された場合に利用できる制度で、所定の手続きを行うことですべての借金をゼロにするものです。裁判所に破産申立書を提出し、免責許可をもらうと税金や養育費などの非免責債権を除いたすべての借金が免除されます。支払い不能とは、現在所有している資産や今後の収入によって、現在の債務をすべて完済するのは難しいと判断される状態を指します。 自己破産ができる具体的な金額は決まっておらず、債務の金額と収入のバランスを考慮して判断されるのが一般的です。債務自体はそれほど大きな金額でなくても、収入が少なくほとんど資産がない状態で、生活するのがやっとという場合には自己破産が認められる可能性があります。 ただし、支払い不能の状態になった借入の原因の大半がギャンブルや浪費によるものだと判断され、免責不許可事由があると免責が許可されないこともあるでしょう。
自己破産すると奨学金の返還が免除される
奨学金を借りていると自己破産できないといわれることもあります。しかし、奨学金の返還が終わっていなくとも、条件を満たしていれば自己破産は可能です。自己破産により免責が許可されると奨学金の返還義務も免除されます。ただし、自己破産によって返還義務が免除されるのは破産した本人のみです。 ■連帯保証人や保証人に返還義務が移行する 奨学金を借りるとき、連帯保証人や保証人をつけるのが一般的です。自己破産すると奨学金を借りた本人は返還を免除されますが、連帯保証人や保証人は奨学金の返還請求を受けることになります。連帯保証人や保証人が本人に変わり奨学金を返還した場合、本人に対して代わりに支払った金額を返還するよう求める求償権が生じます。 そのため、自己破産の手続きをすると、代わりに連帯保証人や保証人が債権者として扱われる点に注意しましょう。