「ウクライナ連邦」化はロシアと欧米の落とし所になるか
ロシアからみたウクライナ連邦化の意味
その一方で、連邦制の導入はロシアにとって、以下の三つの点で、ウクライナ問題の一番効果的な幕引きでもあります。 (1)欧米諸国との間でこれ以上の制裁の応酬や軍事衝突に発展することは、ロシアにとってもダメージが大きいこと、 (2)ドネツク州などはロシア系住民が多いものの、ソ連時代の1954年にロシアからウクライナに割譲された歴史があるクリミアと違い、欧米諸国から反発を受けてまで編入するほどの結びつきがないこと、 (3)連邦制が導入され、ドネツクなどに親ロシア的な州政府ができれば、暫定政権が親欧米派に握られている現状と比べて、ウクライナをヨーロッパとの緩衝地帯にしやすくなること、です。
欧米諸国の反応は
4月14日、ウクライナ暫定政権は、連邦制導入の是非を含む住民投票を実施する用意があると発表。一方、欧米各国政府は公式の反応を示していませんが、米紙ワシントン・ポストなど欧米メディアでは、連邦制の導入を基本的に支持する論調が目立ちます。 欧米諸国にしても、事態を収拾するためには、ウクライナのロシア系住民の反発を和らげる必要があります。そのため、連邦制の導入は、ウクライナ問題の「落としどころ」になる公算が高いといえるでしょう。 (国際政治学者・六辻彰二)