「東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫」医療体制整備を 専門家会議が提言
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府の専門家会議が1日、開かれた。その後記者会見した副座長の尾身茂氏(地域医療機能推進機構・理事長)は、オーバーシュート(爆発的な患者の拡大)が起きる前に医療現場がひっ迫すると指摘したうえで、「特に、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、は人口集中都市を有するから、医療供給体制が切迫しており、きょう、あすにも抜本的対策を講じる必要がある」と訴えた。特定の都道府県や都市の医療体制や対策について専門家会議が提言を出すのは初めて。 【会見ノーカット】「『感染拡大地域』では一斉休校も選択肢」専門家会議が見解
尾身氏は、「新型インフルエンザ等協力医療機関、大学病院、など地域におけるさまざまな医療支援が一丸となって、都道府県と十分な連携を行って、どの医療機関がどのような役割を果たすのか早く決めて実行に移してもらいたい」と訴えた。 また、新型コロナウイルスの感染が今後拡大すれば、軽症者は自宅療養してもらうことになるだろうと見越し、「自宅療養以外にも施設での宿泊も選択できる、(そのような)選択肢を是非用意してもらいたい」とも述べた。
尾身氏は「我が国は幸い、いまのところ諸外国のようないわゆる医療崩壊は生じていない」と現状を説明。一方、「諸外国の医療現場で起きている厳しい事態を踏まえればさまざまな将来の可能性を想定し、人工呼吸器など限られた医療資源の活用の在り方についても市民を巻き込んだ議論をしていく必要がある」と述べた。 感染が拡大していけば、今後はより多くの医療機関に感染者を受け入れていくことになる、とも指摘。「医療機器の導入支援、患者増加に備えた人的・財政的支援が極めて重要」だとして政府に医療体制の充実を求めた。 さらに、「クラスター(感染者集団)つぶしのサーベイランス(監視・調査)をやっている保健所がかなり疲弊している。このためにクラスターの発見が遅れているという例もみられている。色んな人材に色んな所から来てもらって、サポートしていただきたいということは再三、都道府県、国に頼んでいるがなかなか上手くいっていないので、是非お願いしたい」とも話した。