大谷翔平 いよいよ量産態勢!"100マイル(161km/h)打ち"可能の「インパクトの五角形」
ついに、怪物の打棒に火が付いた。 ドジャースの大谷翔平(29)は6月17日(日本時間)のロイヤルズ戦で、今季初となる2打席連続本塁打(18・19号)を放ち、19日のロッキーズ戦では今季メジャー最長の約145m特大弾(20号)を放った。 【連続写真でわかりやすい!】専門家が徹底解説…!大谷翔平「2024年型シン打撃フォーム」 いよいよ、量産態勢か。世界中のファンにそんな期待を持たせる大谷の打撃好調のウラには、どのような秘密が隠されているのだろうか。 「これ以上、人類は進化できないのではないか――。今年の大谷選手の打撃を見ていると、そんな気さえしてしまいます」 そう語るのは、鹿屋体育大学硬式野球部監督で、スポーツ科学研究者としてアスリートの動作解析を行う藤井雅文氏だ。 「今季の大谷選手のフォームは理想的と言っても過言ではありません。頭の位置を変えずに並進運動(体重を投手側に移動させること)を行いつつ、上半身は後ろに残している。こうすることでスイングの際に捻転差(上半身と下半身の回転の差)が生まれ、身体を突っ込ませずに正確に打球を捉えながらも、スイングを加速させることが可能になるのです。言葉にするのは簡単ですが、これほどの捻転差を作ることは非常に難しい。 大谷選手の場合、上肢(肩関節から指先まで)の可動域が他の選手と比較しても異常に広いため、その分、捻転差もメジャートップクラスなんです」 タイガースの前田健太(36)の「マエケン体操」に代表されるように、上肢の可動域に長(た)けているのは投手であることが多い。投手・大谷が培った肩関節の柔らかさが、打者・大谷の優れた捻転差を生み出したのだろう。そして、今季の大谷の武器はこれだけではない。 「速球に強くなりました。6月6日のパイレーツ戦で、新人右腕ポール・スキーンズ(22)が投じた100マイル(約161㎞/h)の速球をバックスクリーンへ運びました。大谷が100マイル以上の速球をホームランにしたのは、メジャー7年目にして初めてのことなんです」(現地記者) 藤井氏によれば、大谷のインパクトの形が、この″100マイル打ち″を可能にしているという。 「投手の球が速くなればなるほど、打者はインパクトの際にバットを押し戻されてしまう。しかし、大谷選手はインパクトの際に必ず両腕を五角形に保っていて、左肘はお腹の前に入っている。これは最も力負けしにくい形なんです。 ゴルフをプレーする方は、『スイングの際に三角形を意識』と教わったと思います。たしかに、スイングスピードを上げるだけなら三角形なのですが、ボールが100マイルで迫ってくる野球ではエネルギーを受け止めきれないんです。力負けせずにボールを捉えながら、類稀(たぐいまれ)なる上肢の可動域で生み出した捻転差でスイングを加速させる。こうすることで、速球も、緩い変化球も、インコースもアウトコースもスタンドに運ぶことができます」 チームではMVPトリオの一角であるムーキー・ベッツ(31)や、右腕・山本由伸(25)が故障者リスト入りしたが、大谷は急遽(きゅうきょ)任せられたトップバッターの役割を見事にこなしている。両リーグ本塁打王の偉業へ――。新たな武器を手に入れた若武者の歩みは止まらない。 『FRIDAY』2024年7月5・12日号より
FRIDAYデジタル