【オーストラリア】豪の農業新興企業、NASA技術応用で注目
オーストラリア・ニューサウスウェールズ(NSW)州のアグリテック(先端農業技術)企業、アグセント(Agscent)に注目が集まっている。同社は米航空宇宙局(NASA)と協業し、呼気による家畜の妊娠診断を可能にする機器の開発を目指している。 アグセントが開発しているのは、NASAが宇宙空間で呼気から健康状態を分析するために開発した特殊なチップを応用した機器。呼気の採取から妊娠判定までのプロセスを、わずか30秒ほどで完了する。従来の診断よりも早い妊娠18日目からの検知が可能で、診断精度は92.5%に上る。 同社によると、この技術はオーストラリアで問題となっている獣医師不足の解決につながり、農家にとっては診断コストの削減にもなるという。また触診に比べ安全に検査を行う事ができ、早い段階で妊娠診断が可能になることで農家の機会損失を防ぎ、生産性向上にも寄与する。 NSW州政府駐日事務所の棚瀬智仁商務官によると、アグセントは現在、診断機器の実証実験を進め、2025年中の商業化を目指している段階だ。妊娠診断のほか、伝染病など家畜に大きな影響を与える病気を呼気から診断する技術の開発も進めているという。 同社はこのほか、家畜が排出するメタンガスをリアルタイムで測定・データ管理する製品をオーストラリアと米国で製品化済み。世界的に問題となっている家畜のメタンガスの排出削減にも取り組んでいる。