美談・放言・武勇伝...。今こそ現役センセーたちの「政治家本」を掘り返そう!
ここからは番外編として、元首相ふたりを取り上げる。 安倍晋三元首相が小泉内閣の官房長官だった2006年4月に刊行された財界人や保守系知識人との対談集『安倍晋三対論集 日本を語る』では、改憲へのすさまじい執着が繰り返し語られている。 〈現行憲法を「不磨の大典」のごとく祀り上げて指一本触れてはいけないというのは一種のマインドコントロール〉〈現行憲法はニューディーラーと呼ばれた左翼傾向の強いGHQ内部の軍人たちが――しかも憲法には素人だった――短期間で書き上げ、それを日本に押し付けたもの〉 しかし、歴代最長の首相在任記録をもってしても、その悲願は達成できなかった。 そして最後は、数々の舌禍事件を起こしてきた森 喜朗元首相の『日本政治のウラのウラ 証言・政界50年』(2013年)。 サービス精神旺盛な森は、聞き手の田原総一朗に乗せられ(?)、暴露話を連発。長嶋一茂を放出したヤクルトの球団幹部(書籍内では実名)が「せいせいした」と言った話、国会内の乱闘で骨折したはずの女性議員(書籍内では実名)が部屋に入ったら松葉杖をついていなかった話......。 特に生々しいのが、過去の選挙で公然とカネがバラまかれていたとの証言だ(森は「うちではやったことがない」と前置きしているが)。 〈直接、有権者に渡しちゃうのよ。(中略)山を越えて集落に行くでしょ。(中略)そこにバーッと村人が並んでいるんです。(中略)全員に札束を渡すんだから〉 〈ハマコーこと浜田幸一が地元の千葉県で、八幡製鉄(今の日本製鉄)の寮ができた時に、一家族一万円ずつ配ったというからね。(中略)しかも、封筒に差出人の名前が書いてあったというから。警察はなぜ摘発しないのかと言う人がいるけど、そんなことをしたら町中の人間を全部豚箱に入れなきゃいけない(笑)〉 森センセーはやっぱりレベチでした!