美談・放言・武勇伝...。今こそ現役センセーたちの「政治家本」を掘り返そう!
* * * 次期首相待望論が続く石破 茂元防衛大臣の『国防』(2005年)には、軍事オタクの面がにじみ出た一節がある。 〈私は(防衛庁)長官として、できるだけ現場へ出たいと思っていました。F-15や、F-2戦闘機にも実際に乗ったし、90式、74式戦車にも自分で乗って操縦しました。習志野空挺団では、十一メートルの高さから飛び降りる訓練もしました。人間が恐怖を感じる高さは十一メートルで、(中略)私は二回もそこから飛び降りてみた。自分でも馬鹿じゃないかと思います〉 同じく次期総裁候補の一角、河野太郎デジタル大臣は、かつて筋金入りの反原発派として、自党も他党も官僚もマスコミも批判しまくっていた。福島第一原発事故の翌年に刊行された元日本経済新聞記者・牧野 洋との共著のタイトルは、『共謀者たち 政治家と新聞記者を繫ぐ暗黒回廊』。 〈民主党は、電力会社の労働組合から(中略)さまざまな支援を受けています。自民党の議員のなかには、実質的に電力会社から献金を受けてきた者が少なからずいます。(中略)その裏では、経済産業省が、核燃料サイクルの実現を至上の命題とした政策を遂行しようと、あらゆる手だてを尽くしてきました。しかも、原子力発電の邪魔になるような自然エネルギーを、徹底的に妨害し続けたのです〉 ハードパンチャー! 初の女性総理の座を狙う高市早苗経済安全保障担当大臣は政治家になる前、米民主党議員スタッフとしての勤務経験を基に、日本政治の遅れを指摘した『アズ・ア・タックスペイヤー 政治家よ、こちらに顔を向けなさい』(1989年)を上梓。ただ、その筆致は等身大の20代女性という感じで、かなりポップだ。 〈話は脱線しますが、私の個人的好みを言うと、(中略)上院のテッド・ケネディのほうが何倍も素敵な人なのです。(中略)私も一回抱きしめられたとき、正直言って......、実はとても嬉しかったものです。(中略)プンといい匂いもしました。さすがプレイボーイ〉 ほかにも、日本の国際派代議士がワシントンで日本製のコンドームを土産として配りまくっているという噂話など、食いつきやすい話題が多い。 立憲民主党・辻元清美代表代行は、実は今も続くピースボートの創設メンバーのひとりだ。議員になる前に上梓した『清美するで!! 新人類が船(ピースボート)を出す!』(1987年)では筑紫哲也や浅田 彰、本多勝一といった文化人、『ありのまま主義宣言っ! うどん屋の娘に国境はいらない』(1990年、芸文社)ではなんと中島みゆきと対談。当時の注目度の高さがうかがい知れる。 自民党・平沢勝栄元復興大臣の『明快!「国会議員」白書』(2000年)も怪作。冠婚葬祭でひたすら顔と名前を売る国会議員のリアルな日常などが描かれているが、特に驚くのが公明党への敵意だ。11章目の見出しは「迫りくる公明党の日本支配」! 〈自民党幹部や党公認候補が、「小選挙区は自民党候補へ、しかし、比例区は公明党へ」と選挙カーの上から絶叫する光景ほど、醜悪な姿はほかになかったのではないだろうか。まさに公明党という覚醒剤に骨がらみになった姿だ〉 〈一度打ってしまうと依存体質になって、(中略)ボロボロになっていく〉