宮原知子と坂本花織が語らう『ファンタジー・オン・アイス』裏話「絆があるアイスショー」
【ショーの魅力は個性とつながり】 ーー海外のスケーターが多いアイスショーですが、交流エピソードはありますか? 坂本 それはけっこうあります! 宮原 私はステファンやギヨーム、ポール(・ポワリエ)がいる時は、一緒にごはんに行くことが多いです。Aツアーの時もほぼ毎日一緒にご飯を食べて、変な冗談を言いながら笑って過ごしていました。 坂本 私はエアリアルのメリー(・アゼベド)さんとアルフォンソ(・カンパ)さんが、理由は忘れたんですけど、一昨年くらいから私のことを「メレンゲ」って呼んでくれていて。今年、西宮でリハーサルをやった時に(坂本がモデルを務めている)海上保安庁のポスターが貼ってあるんですけど、会うたびに「メレンゲ!」と言いながらポスターの敬礼を真似してくれたり、先日オリックス・バファローズの帽子を被っていたら「B」と書いてあるのを見て、ずっと「B......バオリ......?」って言っていましたね(笑)。 宮原 あと、海外スケーターのみんなは耳がいいので、日本語の歌もすごくうまいんですよ。歌詞をちゃんと歌えているわけではないんですけど、ちゃんとそれっぽく歌っていて。 坂本 そう、すごくうまい! ステファンがすごかった! 石井(竜也)さんのビブラートのマネがすごかったです。 ーーあらためてFaOIの魅力をひと言で表現するなんでしょうか? 宮原 ファンタジー。 坂本 おぉ~! 宮原 毎年思うんですけど、スケーターの個性がすごく濃いと思うんです。一人ひとりのキャラがすごく濃くて、ショー自体が個性の集まりみたいな感じ。 坂本 わかる! 宮原 だから、ファンタジーにあふれているなといつもすごく感じています。 ーーでは坂本選手、最後にファンタジーを超えるひと言をお願いします。 坂本 豪華なアーティストさんが出てきたりステージが動いたりはもちろんなんですけど、やっぱり「つながり」かな。いろいろなつながりがあると思うんです。アーティストさんとのつながり、スケーター同士のつながり、スタッフのみなさんとのつながり、お客さんとのつながりがある。それぞれが自分のプログラムを披露するだけではなくて、プロスケーターも現役選手もアンサンブルも全員で協力してひとつのアイスショーをつくり上げているという感じがするんです。みんなでいいものにしようというつながり、絆があるアイスショーだと思います。 後編<宮原知子と坂本花織が『ファンタジー・オン・アイス』の見どころを語る プログラムに「性格が出る」>を読む 【プロフィール】宮原知子 みやはら・さとこ 1998年、京都府生まれ。4歳からフィギュアスケートを始める。2014~2017年に全日本選手権4連覇。2015年世界選手権2位。2018年平昌五輪に出場し、日本選手大会最高位の4位に輝いた。2022年に現役引退し、プロスケーターとして活躍中。 坂本花織 さかもと・かおり 2000年、兵庫県生まれ。中学2年の時に全日本選手権で6位入賞し注目を集める。2018年平昌五輪で6位入賞、2022年北京五輪では銅メダルを獲得。全日本選手権は2018年、2021~2022年の通算4度優勝。世界選手権は2022年から3連覇中。
山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko