米SECがFTXに警告、債権者の返済にステーブルコインなどの暗号資産を使わないよう求める
SECがチャプター11に権利保留を執行
米証券取引委員会(SEC)が、破産した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの破産計画の一部に変更を求める可能性が出てきた。8月30日付けの裁判所への提出書類にて明らかとなった。 提出書類でSECは、債権者への暗号資産に関わる分配に異議を唱える可能性があると述べている。 SECは「FTXは、特定の債権者にステーブルコインを配布する可能性を含め、さまざまな配布オプションを模索している」と述べ、また、「債務者は、計画に基づいて債権者にステーブルコインを分配する可能性のある分配代理人を特定していない」と述べた。 さらにSECは「私たちは連邦証券法の下、計画に概説された取引の合法性について意見を述べるものではなく、暗号資産を含む取引に異議を唱える権利を保有している」と続けている。 FTXは8月2日に提出した書類にて、現金は「米ドル・ペッグされたステーブルコイン、銀行預金、小切手、およびその他の類似品を含む、アメリカ合衆国の法定通貨またはその等価物」と定義していた。 かつて世界トップクラスの暗号資産取引所だったFTXは、2022年11月に破産を申請し業界を震撼させ、推定900万人の顧客と投資家が数十億ドルの損失に直面した。 同社の創設者サム・バンクマン=フリード(Samuel Bankman-Fried:SBF)氏は、顧客から80億ドルを盗んだとして3月に懲役25年の判決を受けた。同氏は有罪判決を不服として控訴している。 FTXは破産を機に、米国の規制当局や元ビジネスパートナーとの和解を成立させ、不動産や暗号資産、その他のテクノロジー企業への投資など、不正に流用された顧客資金で購入された資産を売却した。 FTXは暗号資産取引所としての再生も模索していたが、今年1月に再開を断念。代わりに2022年11月に破産申請した際に暗号資産預金をロックされた顧客への返済のため、資産の整理に注力している。
髙橋知里(幻冬舎 あたらしい経済)