なぜ瀬戸内に? 外資系高級ホテルの進出計画続々
瀬戸内で外資系の高級ホテルの出店計画が相次いでいる。音戸の瀬戸公園(広島県呉市)での計画に加え、米大手ヒルトンは2028年に廿日市市宮島口西に高級ホテルを開業する。複数の外資系高級ホテルができることで、面としての魅力が高まり、外国人観光客の集客につながりそうだ。 瀬戸内の主な外資系ホテルの一覧 音戸の瀬戸公園の事業で、ひろぎんホールディングス(HD、広島市中区)のグループ企業は資金調達やコンサルティングなどを担う。ひろぎんHDは、外国人観光客にとって音戸の知名度は低いが、高級ホテルの誘致などを通じて人気を高められると評価した。 部谷俊雄社長は「瀬戸内には観光資源がたくさんあるのに、高級ホテルがあまりなかった」と説明。広島、呉、尾道市でのクルーズなど「面的に瀬戸内海をうまく使うことを考えなければいけない」と語る。 ヒルトンが宮島の対岸に開業するのは、上級ブランド「LXRホテルズ&リゾーツ」。ひろぎんHDのグループ社員向け保養施設の跡地に建てる。「厳島神社を望む海辺で、ぜいたくで唯一無二の体験を提供する」とし、国内で高まる高級ホテルへの需要に対応する考えだ。 広島県内では、世界的高級ホテル「アマン」の創業者が手がける新ブランドの旅館「アズミ瀬戸田」が21年、尾道市瀬戸田町に開業した。四国でも、香港拠点のマンダリンオリエンタルホテルグループが27年夏、国内2カ所目のホテルを高松市にオープンする計画。香川県の直島にも富裕層向けの古民家風ホテルを27年に開業する。 観光庁の宿泊旅行統計によると、23年に広島県に宿泊した外国人は延べ144万人と10年前の約3倍に増えた。安田女子大国際観光ビジネス学科のジョアン・ロマォン准教授(観光学)は「繰り返し日本を訪れたい外国人は、混雑を避けられる観光スポットを瀬戸内に求めている」と分析。多島美や瀬戸内しまなみ海道のサイクリングなどの魅力が広く知られるようになったのも要因とみる。
中国新聞社