ラストのリーグ戦に向けて意気込む甲南大の堤愛斗㊧と松井祐磨

　２人の不屈左腕には目標がある。甲南大・松井祐磨と堤愛斗（ともに４年）が、ラストシーズンでの継投に意欲を示した。「野球人生の最後。いい形で終えたい」と、口をそろえて意気込んだ。 　入学後すぐにＡチーム（１軍）入りを果たすなど、大きな期待をかけられてきた。だが、松井は１年冬に左肩関節唇を損傷し、ここまでリーグ戦での登板がない。一方の堤は２年秋に２部西リーグで４勝を挙げ、チームの１部昇格に貢献。しかし、４年春に左肘じん帯断裂の大けがを負い、以降はマウンドに上がれていない。 　利き腕のけが。投手にとって、これ以上ない苦境に立たされた両腕は、２人で誓いを立てた。「最後のリーグ戦は、俺らでリレーをしよう」。チームメートが投球する姿を横目に黙々とリハビリに励む日々は、想像以上につらかった。それでも、「きついけど、堤も一緒やから頑張れた」と松井。堤も「同じ気持ちの、松井の存在は大きかった」と感謝する。“同志”だからこそ、互いに支え合い、乗り越えることができた。 　迎えた、勝負のとき。「最後はもう、肘とか全部潰れてもいいから、全力で」と堤が悲壮な決意を明かせば、「たとえ打者１人でも、今までやってきたことをぶつけたい」と、松井も意気込む。誰よりも苦しんだサウスポーコンビが、最高の笑顔で有終の美を飾る。