今年度で定年退職する親に聞いても、退職金がいくらなのか教えてくれません。どのくらいなのでしょうか?
将来的に親の面倒をみなければならない可能性のある子どもにとって、退職金や年金など、親のお金のことは気にかかるものです。しかし「退職金はいくら?」と尋ねても、お金の話をしたがらない親は珍しくありません。 本記事では、政府の調査データをもとに、さまざまな条件での退職金の平均給付額や、企業の退職金制度の動向を紹介します。親の退職金額がいくらくらいなのか、推測する手がかりにしてみてください。
【学歴別】定年退職による退職金の平均額
図表1は、厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」のデータをもとに、定年退職による退職金の学歴別平均給付額をまとめたものです。 【図表1】
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」より筆者作成 令和5年調査と平成30年調査の結果を比較すると、大卒者では退職金の平均給付額が80万円以上減っていることが分かります。高卒者の場合は、職種にかかわらず令和5年調査の結果のほうが、退職金の平均給付額は増加しています。
退職金の形態や勤続年数でも退職金額は異なる
退職金の給付額は、退職給付制度の形態や勤続年数によっても異なります。厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」の結果によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者1人あたりの平均退職給付額は、図表2のとおりです。 【図表2】
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」より筆者作成 いずれの学歴でも、勤続年数が長くなるほど退職金の平均給付額は大きく増える傾向です。勤続35年を超えると、大卒者、高卒者の平均給付額の格差も小さくなります。 退職給付制度の形態別にみると、退職一時金のみおよび退職年金のみのケースと比べて、両制度併用の平均給付額が大きい傾向に見て取れます。
退職金制度自体を廃止してしまう企業も
退職金制度は企業の方針によって変わることもあり、時には従業員にとって改悪と感じられる見直しが行われることもあります。過去3年間に退職金制度の廃止や支給率減少、支給期間短縮を行った企業の割合は、図表3のとおりです。 【図表3】
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」より筆者作成
退職金の実態は企業・条件によって異なる
退職金の平均給付額や制度見直しの動向などは、政府の統計データで分かります。しかし、退職金制度の設計は企業ごとに異なること、学歴や勤続年数、現役時代の給与の額など個々の事情に左右される部分があることから、データだけで個人の退職金額がいくらなのかを、正確に推し量るのは難しいでしょう。 親の退職金額や資産状況が気にかかる場合は、無理に聞き出そうとせず、老後の資金計画や医療・介護等の方針の話も含めて話をしてみるのがおすすめです。 出典 厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部