中谷防衛相と沖縄・玉城知事が会談 辺野古移設巡る「深い溝」浮き彫りに
沖縄県を訪問している中谷元・防衛相は15日、玉城デニー知事と県庁で会談し、在日米軍再編に伴う在沖縄米海兵隊の米領グアム移転を進め、沖縄の基地負担軽減に努める方針を伝えた。一方、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡っては、玉城知事が「工事の即刻中止」と対話による解決策を改めて要求。玉城知事の表情は硬く、政府と県の間に横たわる深い溝が埋まりそうにないことをうかがわせた。 【写真】玉城デニー知事から要望書を受け取る中谷元・防衛相 ■玉城知事「県外、国外移設を」 「(辺野古への)移設事業を着実に進めていく」。中谷氏は会談でこう述べ、普天間飛行場を含む嘉手納基地(嘉手納町など)以南の施設・区域の早期返還を実現させる考えを強調した。 だが、玉城知事は「いつ終わるのか、いくらかかるのかも分からない。全く将来性のない工事だ」と批判。普天間飛行場の危険性除去が必要との認識では一致しているが、「県外、国外への移設に取り組んでほしい」とあくまで辺野古反対の姿勢を崩さなかった。 在沖縄米海兵隊のグアム移転を巡っても、両氏の間にすきま風が吹いているように見えた。日米両政府がに在日米軍再編ロードマップ(行程表)で合意したのは平成18年。中谷氏は「大きな節目を迎える」と意義を強調したが、玉城知事は「具体的な移転スケジュールがまだ示されていない」と指摘した。 ■中谷氏「南西防衛の強化が急務」 会談後、記者団の取材に応じた玉城知事は「沖縄で行われている訓練そのものも(海兵隊の)部隊と一緒に(グアム北東の)テニアンに移転してほしい」と語った。 また、辺野古移設については「(政府が)『辺野古が唯一の解決策』というのであれば、先に普天間(飛行場の)の運用を停止し、閉めないと、普天間の返還は見通せない」と語気を強めた。 中谷氏は、中国が東シナ海や南シナ海で力による一方的な現状の変更を試みていることなどを念頭に、「南西防衛の態勢強化が急務だ」と理解を求めた。日米同盟の抑止力を強化しつつ、沖縄の基地負担をどう軽減させるのか。このまま政府と県が平行線をたどれば、南西防衛にも影を落としかねない。(大竹直樹)