悔いのない競輪人生を送るため「1年1年が勝負」GPレーサー金子貴志が引退した同期のもとを訪れて思うこと
第二の人生を歩む同期たち
75期はすでに引退した選手も多く、その後は色々な職業に就いています。デビューした時は皆、引退後のことは考えていなかったでしょう。ですが今では選手を辞め、鍼灸師や釣り船の船長をしていたり、飲食店を経営している仲間もいて、それぞれの“第二の人生”を歩んでいます。 白銀さんと話すうちに、ほかの同期たちがどう過ごしているかも気になってきました。さまざまな分野で頑張っている仲間と会うことで新しい世界を知ることがきると思いますし、自分自身のモチベーションにも繋がるはずです。 私たちがデビューした時、競輪選手は4,000人以上いました。若かったこともあり、当時はずっと現役でいられるような感覚でした。実際は太く短いキャリアを選ぶ人もいれば、1日も長く現役でいるために努める人もいます。選手を続けたくても、ケガや病気で続けられなくなることもあります。 競輪は点数を持っているほど有利になる仕組みのため、一度成績が落ちてしまうとなかなか上がるのは難しくなってしまいます。今は私も1年1年が勝負、という気持ちで向き合っています。 自転車に人生を懸ける覚悟で競輪選手を志した人が多いゆえに、年齢を重ねるにつれて将来に不安を抱くようになる競輪選手は少なくないと思います。その不安を少しでも和らげるために、私はいろんなセカンドキャリアを歩む仲間たちの話を聞き、知見を広げてYouTubeやコラムを通じて発信できればと思っています。未来の可能性を知り不安が和らげば、いっそう目の前のレースに集中できると思うのです。
悔いの残らない競輪人生を送るために
以前コラムで紹介した、マッサージ店主の一丸安貴さんも「(引退した後)生きていくのは大変だぞ」と話していました。引退してから新しいことを始めたり、勉強したりするのは至難の業のようです。悔いが残らない選手生活を送るための努力と、第二の人生を迎えたときに対応するための学び、両方が求められることを痛感しています。 もちろん競輪選手として1日も長く現役を続けられればいいのですが、私自身もいつかは引退する日が来ます。その時に、自分のやりたいことができたら幸福です。そのためにも残りの競輪人生、悔いを残さずやれることをすべてやっていきたいです。次回のコラムでは、A級戦での感触などもお話しできればと思っています。