サイバーA、新作ゲームヒットで子会社の純利益61倍増…続いた「ウマ娘」反動減を打ち止め、他社作が成長けん引
サイバーエージェントのグループ子会社Qualiarts(クオリアーツ)が、驚異的な業績向上を遂げたとしてゲームファンや関係者の間で注目を集めている。先日16日付の「官報」にて公示された2024年9月期決算('23年10月~'24年9月)では、同社純利益が前年の5,000万円から31億700万円へと大幅に増加、実に6100%を超える伸びを記録した。急成長の背景には、新作スマートフォンゲーム『学園アイドルマスター』の成功があるとみられる。 【画像】2021年が異様すぎた?直近FY数年間のゲーム事業利益【グラフ】
高品質ゲームの成功と業績への影響
『学園アイドルマスター』は、バンダイナムコエンターテインメントが展開する「アイドルマスター」シリーズ最新作アプリゲームとして今年5月にリリース。開発を担当するQualiartsはこれまでも「IDOLY PRIDE」など高品質な3Dモデルを駆使したゲーム制作を行っており、今作でもクオリティを重視したゲームシステムが好評を博し、リリース直後から急速に人気を集めた。 民間調査でも今年上半期の成長量上位にランクインしており、同社の収益増に大きく寄与したとみられている。また、IDOLY PRIDEをはじめ「ガールフレンド(仮)」などの既存タイトルも業績全体を底上げしたようだ。
サイバーエージェントのゲーム事業、減少傾向に歯止め
ここでサイバーエージェントのゲーム事業全体を振り返る。直近10月に公表された通期決算では、同事業がおよそ3年ぶりに営業利益が増加に転じたことが明らかになっていた。 同社のゲーム事業は2021年にスマホゲーム『ウマ娘プリティーダービー』の大ヒットで驚異的な伸びを示し、一時は過去最高の業績を記録したが、その後は反動減で事業利益は964億円→605億円→227億円と減少を続けていた。しかし、ここにきて前期は305億円となり、減少は打ち止めに。再び成長にシフトした。 この成長を牽引したのは「ウマ娘」「グラブル」「プリコネ」などのCygamesや今回のQualiartsだけでない。子会社Colorful Paletteは「プロジェクトセカイカラフルステージ」がアプリランキングで常に上位に付けているほか、子会社サムザップは昨年秋、テレビアニメ放送と同時期に『呪術廻戦』のスマホゲームをリリース。同社は直近の決算公告において、前期比10倍の最終利益を計上したことも判明している。 子会社アプリボットからはナガノ氏の人気キャラクター「ちいかわ」を題材にした新作アプリ『ちいかわぽけっと』も提供予定で、事前登録段階で大きな注目を集めるなど期待感も誘っている。 上記のようなタイトルはいわゆる「他社IP(知的財産)」に類されるが、依然として自社IPでは「ウマ娘」の下支えも大きい。当社は以前よりウマ娘を「10年続くIPに」との目標を掲げており、今年には5月に劇場アニメ化、夏に初となる家庭用ゲームの発売を果たすなど、具体的なアクションを起こした。 サイバーエージェントでは、ゲーム事業の復調に加えメディア事業におけるインターネット放送局「ABEMA」の四半期黒字化も果たした。今年夏季に藤田晋代表は「ウマ娘」の大ヒットを受け「IPを強化していく方向性がクリアになった」とも言及しており、他社IPタイトルの開発とともに、さらなる成長を目指す。
編集部 経済・社会担当