KO勝ちを収め笑顔で引き揚げる岩田＝有明アリーナ（撮影・今野顕）

プロボクシングのWBO世界ライトフライ級王座決定戦が13日、東京・有明アリーナで行われた。同級1位の岩田翔吉（28）＝帝拳＝が、同級2位のハイロ・ノリエガ（31）＝スペイン＝に3回3分TKO勝ち。約2年ぶり2度目の世界戦で、早大出身者初の世界王者となった。 名門の帝拳ジムで期待され続けてきた岩田が、大舞台で屈辱のプロ初黒星を喫した2年前からの成長を示した。大観衆の前でも全く物おじせず、いつも通りに攻めのボクシングを貫いた。 「2年前にすごく悔しい思いをして、もっと強くなりたいという思いでやってきた。腰に世界のベルトを巻けてすごくうれしい」 1回から左ジャブを丁寧に突き、2回にはボディー攻撃も織り交ぜて、大振りのパンチを振ってきたノリエガの攻撃をいなした。3回に右アッパーでダウンを奪うと、何とか立ち上がったノリエガにラウンド終了を告げるゴングと同時に左フックが炸裂（さくれつ）。ノリエガがキャンバスに沈むと、レフェリーがノーカウントで試合を止めた。 2022年11月、さいたまスーパーアリーナでWBO世界ライトフライ級王者だったジョナサン・ゴンサレス（プエルトリコ）を相手に世界初挑戦し、0－3の12回判定負け。プロ初黒星を喫した。悔しさを糧にボクシングへの向き合い方や練習を見直し、長所のパンチ力や意外性だけでなく、相手との駆け引きやボクシングの組み立てを強化してきた。世界戦での敗戦後はノンタイトル戦で元世界王者らすべてフィリピン選手と4戦を闘い、オールKO勝ち。満を持して2度目の世界戦に臨んだ。 東京・日出高3年時に同学年の田中恒成（畑中）、井上拓真（大橋）に勝利し、全国高校総体で優勝。早大スポーツ科学部へ進学し、4年生だった2018年12月に米国でプロデビューした。試合のたびに、早大ボクシング部の後輩らが応援に駆け付けている。OBの大一番に早大は世界初挑戦時と同様に岩田のトランクススポンサーになって後押し。体育各部を統括し、活動を支援する早大競技スポーツセンターのロゴマークに「WASEDA」の文字が入ったワッペンをつけて闘った。 早大出身者は岩田を含めて過去に4人（計6度）が世界王座に挑戦したが、いずれも敗戦。この日も現役部員ら多くの応援団の後押しを受け、早大出身者初の世界王者となった。