高橋宏斗が開けた"再加速"への扉!立浪竜が首位カープに3連勝、残る課題は?
戦力外から復活した板山
7月7日の3戦目は、板山祐太郎が試合を決めた。板山は、前日も貴重な2点目となる移籍後初ホームランを打っていたが、この試合はベンチスタートだった。1対1で迎えた9回裏、カープ抑えの栗林良吏は、制球が定まらずに2つの四球と、5番のオルランド・カリステに対する申告敬遠で1死満塁となった。石川昂弥の代打として立ったのが板山だった。栗林の4球目を振り抜いた打球はライト前へ、自身初のサヨナラヒットとなった。 阪神タイガースを戦力外となりドラゴンズに育成選手として入団した板山が、いつのまにか竜ナインの歓喜の輪の真ん中にいた。感動的な3連勝達成となった。その努力と精進には心からの拍手を送りたい。これで最大8ゲームあった首位カープとの差は3.5ゲームと縮まった。
打てない打線の悩み続く
暑さを忘れさせる快適な3連勝なのだが、忘れてはいけないのは3試合の得点である。2点、2点、そして2点と、ドラゴンズ打線は毎試合「2点」しか取っていない。先発とリリーフ、投手陣の頑張りで手にした連勝である。少し前に「10試合連続で2得点以内」という淋しい試合が続いたが、実は、再び2得点以内は5試合連続になっている。連勝はチームに勢いをつけるが、まだまだ油断大敵である。「あと1本が出ない」という課題は、何も解決されていない。 4月に6連勝して単独首位に立ったドラゴンズだが、そこで打順や守備を変更したり、ローテーションを変えたり、見る見るうちに"失速"した記憶がよみがえる。田中幹也とクリスチャン・ロドリゲスの二遊間も、福永のサードも、今はしっくりきている。どうかここは勢いを手放さないために、落ち着いた顔ぶれで、落ち着いた野球を続けてほしい。広島カープに3連勝した七夕の夜、次の対戦相手となる横浜DeNAベイスターズに"勝ち星"を奪われないようにと、まだ梅雨の夜空に願った。 【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】 ※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が"ファン目線"で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。
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