苦悩して進化するダルビッシュが挑む背水のプレーオフ登板
地区シリーズの初戦を落としたレンジャースは、7日(日本時間8日)、負けると後がなくなる背水の第2戦にダルビッシュ有(30)を先発マウンドに送り出す。ダルビッシュの直前2試合の登板は、13イニングを投げて、5安打、1失点、21三振、2四球とほぼ完璧な内容で、プレーオフに向けて、「全く心配がない。いい成績が残せるんじゃないか」と胸を張ったが、ここに至る過程は、決して平坦ではなかった。 話は、9月14日まで遡る。 ヒューストンのミニッツメイド・パークのビジタークラブハウスで、前回、THE PAGEに書いたリリースポイントの記事について雑談していると、最後にボソッと言った。 「今日のブルペン、すごく良かった」 本来はその日が登板日。プレーオフローテーションにするため、前日の試合後に先発が17日に変更となり、代わりに入ったブルペンセッションを、数日後、改めてこう表現している。 「人生で一番」 ところが、3日後のアスレチックス戦では、初回に先頭打者本塁打を許すなど、5回を投げて、7安打、7失点(キャリアワーストタイ)で負け投手に。8三振を奪うも、3連続を含む4四球と乱れた。 このとき、制球力が課題、などという指摘があったが、そんな表面的な話ではない。ダルビッシュはアスレチックス戦の試合後、こう話している。 「前回のブルペンが良すぎたって言いましたけど、そのブルペンは、これまで自分が投げている感じとはかなり違う感じで、そういう感じであまり投げたことがないから、大丈夫かなっていうのがあった」 不安は的中する。17日の試合前、ブルペンに入ると案の定、「良くなかった」。急遽試合では、9日の6回2/3を投げて、3安打、1失点だったエンゼルス戦のフォームに戻したものの、思うように体が反応しなかった。 「前回のブルペンが違う感覚、今までのやつと違う感覚過ぎて、なんかちょっと、前回のブルペンで頭をそういう方向に使いすぎたから、その前のエンゼルス戦とは全然違うわけじゃないですか。そこが頭の中で凄い、混乱してたのかなっていう」 混乱をほぐす作業は翌18日から始まったが、まずは、ヒューストンのブルペンで掴んだ感触を、「あまり試合中には向いてない。だからもうやらない」と捨て、単純に「元に戻す」とことを意識した。